ミドルエイジのビジネスマン
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ある者にとっては、座って火をくべる母に、その肩位しかない背丈の自分がとても幸せな気持ちで纏わりついている姿。ある者にとっては中学生のときに見つめ合った二人の真剣な眼差し。またある者にとっては高校生になってふと知り合った年上の男の優しい笑顔。
人々が夜寝る前に瞼を閉じると浮かんでくる大切な光景は、おそらく自分が死んでいくときにも、きっと思い出すであろう掛け替えのないものだ。
現実には、母親はもうこの世になく、中学の同級生は行方知れずになり、知り合った年上の男は平凡な中年男になってしまったかもしれない。それでも、胸が熱くなる思い出のある方が、ずっと豊かな人生であるに決まっている。
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