ミドルエイジのビジネスマン
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2006年05月21日(日) ミコちゃんとの再会(1)

日本海に注ぐ大河の中流域に開けた地方都市から、さらに小さい地方都市まで川を遡る薄暮のローカル線は、高校生や専門学校生そして早めに帰宅するOLたちでいっぱいだった。走っているのは田園地帯だが、腰までズボンを下げて床に座り込みドアにもたれている男子高校生たちや、友人と話しながらも携帯電話の画面から目を離さない専門学校生の姿は東京と同じだ。専門学校生のトートバッグの中には接客、接遇というようなタイトルの教科書が入っている。ホテルか旅行関係の勉強をしているのだろう。

到着した駅にはキオスクもあったがシャッターが下りていた。街は生気を失っている。駅前から乗ったタクシーの中から田園風景を眺めていると水田の真ん中に赤く塗った巨大な建物が出現した。若いタクシーの運転手は、関東資本のスーパーセンターだという。きっと、周辺何キロかの人々を全て、都心ではなくこの一店に集中させることができれば、大都会でなくてもこのような巨大な店舗が成立するということなのだろう。

幼いときに遊びに来た豊かな農村は、登り降りした覚えのある、大河の堤防に取り付けられた坂道も、夏に遊んだその直ぐ下の神社もそのままだ。ただ、はるかな記憶と比べて集落の景色に重厚感を感じないのは、思ったより大きな木々が少ないせいだろうか。おそらく、それぞれの家で機密性の高い堅牢で近代的な家に建て替えたり、サッシを入れて改築したときに、それまで北風から家を守ってくれた一方で、陰気で湿気をともなう屋敷林を伐採し、あるいは、ただ単に道路を拡げる障害となって切り倒されたのだろう。

本当に暗くなる頃、タクシーの運転手は家の外に白い大きな花輪が並んでいるのを見つけ、通夜が営まれる叔母の家に到着した。


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