火入れ - 2003年07月03日(木) 火葬の日。 前の日までは霧雨が降っていたのに、 この日は止んだ。 母方の祖母に、喪服を着付けてもらった。 ぎりぎりまで、洋服か、着物か、という話が出たが、 最終的に着物になった。 祖母は行かない、と行っていたのだが、 最後なんだからと話しているうちに、 行く気持ちが固まったらしい。 家で、父とお別れをした。 火葬場でできるかどうかわからなかったから。 母と一緒に霊柩車に乗った。 途中、父の仕事場にもまわってもらった。 同僚の方たちが外で待って下さっていた。 涙が出た。 途中、日が差してきた。 火葬場につくと、たくさんの方が来て下さっていた。 お坊さんにお経を上げてもらい、焼香。 焼香に来て下さった方がとても多かったために時間がかかり、 焼香のあと、顔を見ることなく、 父の躰は釜に入れられた。 みんな泣いていた。 私は、涙がにじんだけれど、それ以上泣けなかった。 ぼろぼろに泣いている母の肩を抱えていた。 親戚もついていてくれた。 祖母は、母に伸ばしている私の腕によりかかるようにして泣いていた。 しばらく釜の前にいた。 その間に祖母は、祖母の姉妹が一緒に連れて行ってくれていた。 休憩所に母をつれていき、母のそばにいて、母を休ませた。 小さい頃からお世話になっている、私の同級生のお母さんも来て下さっていた。 母が多少落ち着いてきて、周りに親戚がたくさんいてくれるのを見て、 私は動いて、従兄弟や親戚たちと話をした。 火葬はとても時間がかかった。 1回目では焼けず、もう1度火を入れて焼くことになったのだ。 「逝きたくないんだねぇ」と誰かが言った。 「焼ける時になって気付いたんだねぇ」母が言った。 2度焼いた父の骨は、細かく砕けていた。 お骨の箱にいっぱいになった。 家族みんなで家の車に乗り、叔父の運転で、 小さくなった父を家に連れて帰った。 -
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