written by 田村 MAILHOME
#Syrup16gとTHE YELLOW MONKEY
2005年01月12日(水)

Syrup16gの「HELL SEE」にすっかりはまっており、エンドレスで聞いているのだが、これがかなり出来が良い。アマゾンのレビューには部屋の電気を消してヘッドフォンをつけて聞くのが良いとあるのだが、とんでもない、通勤中の車の中で大音量で聞いている。晴れ晴れとした空の下で暗い曲を聴くのが案外悪くない。いやそんなに暗いのかと言われるとまあ確かに明るいとは言い難いのであるが、機会があったら是非お聞きいただきたい。


先日の日記ではTHE YELLOW MONKEYの吉井和哉と声が似ていると書いたが、どうもそれだけではないようだ。吉井和哉は自身の抱えていた焦燥や絶望、諦めと言った負の感情を楽曲に流し込んだように、Syrup16gもその感情を楽曲に流し込んでおり、それはTHE YELLOW MONKEYの「天国旅行」だったりSyrup16gの「パレード」だったりするのだが、アプローチは違うものの、根本的なコンセプト自体も近しいものがあるのではないだろうか。

ただ、吉井和哉は負の感情を歌うが、それと同じくらい希望の歌も歌ってきた。「人生の終わり」では「ロックンロールに希望なんてない」と言いながらも、「サイキックNo.9」で音楽の持つ強靭さで世界を変えることができると言い、「rock star」では自らを公衆にさらけ出す道化になることを望んだ。希望も絶望もないまぜにしながらも活動し続けた強さがあった。そのおかげで、彼らはどの作品でも常に不安定で、常に迷走していて、聞いているこちらまで心配に成る程だった。

果たしてSyrup16gはそういった強さを併せ持っているだろうか。本作品に限って言えば、歌われているのは負の感情が大多数なので微妙なところである。絶望の中から見出す希望のように、マイナスとマイナスをかけてプラスになることもあるのだが、それではあまりにも勿体無い。マイナスからのアプローチだけでなく、プラスからのアプローチが出来るだけの強靭さがあれば、もっといろいろなジャンルやステージ、リスナーに対して活動できるのではないだろうか。彼らがマイナスだけでなく、真正面からえぐり出してプラスの歌を歌ったときが、本当に面白いのかもしれない。


ここまで書いて、彼らはTHE YELLOW MONKEYもそうだが、SOPHIAの個人的名盤である「マテリアル」にも通じるものがあるような気がしてきた。しかしその後のSOPHIAの方向性はあまり好きではないので、やはりイエモンに似ていることにしておこう。


ちなみに本作品の#7「(This is not just)Song for me」から#8「月になって」#9「ex.人間」、#15「パレード」は絶品。その上、吉井和哉の声になんとなく似ているので、私個人は大好きだ。好みはあるものの、捨て曲はないといっても良いと思う。



"masterpiece2~The Best of pre-school~"(pre-school)はびっくりした。Pre-schoolの前期作品と言える「this album」のみ所有していたので、ベスト盤である本作品も当然ゴリゴリのロックミュージックで構成されているかと思いきや、彼らは後期からエレクトリカルな方向に突き進んでいったらしい。本作品は中盤からいきなりディジタルサウンドになってみたり、終盤は4つ打ちのハウスになってみたり、pre-schoolを聞いているのかsupercarあたりを聞いているのかMONDOGROSSOを聞いているのかよく分からなくなってきたが、彼らの懐の広さというか振り幅の広さに感心しっぱなしであった。これほど多才なバンドであったのかと、リアルタイムで聞いていなかったことが非常に悔やまれる。



ここ半年ほどまったく連絡の取れなかった友人の生存確認が出来た。経営していた店舗の移転や結婚やらでバタバタして連絡を取る暇がなかったようで、それを聞いて安心したのだが、会ったときにはぶん殴ることにする。




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