written by 田村 MAILHOME
#仕事の話2日目
2003年12月09日(火)

引き続き押し問答2日目です。

1日目はまともな審査員にぼこぼこにされましたが、ここから起死回生の一撃を狙っていきたい所存です。なんなら二度と足腰立たないぐらいにしてやってもいいぐらいです。心の中で。

さておき、本日は二手に分かれて職場の各部署をねり歩き、その辺の社員とっ捕まえてヒアリングという名の尋問を行います。あんた、ほんとにISOのルールに則って仕事やってんのか?と。

申し遅れましたが審査員は2人で来ております。それが二手に分かれるわけです。それ以外に二手に分かれる方法はありませんが。私とM女史も二手に分かれ、それぞれの審査員につきます。先週着任したえらい人は後方支援です(部署待機)。何をしろと?( ゜Д゜)

審査員を紹介します。
一人はO氏。昨日ぼこぼこにされた理詰め押し問答審査員です。若いですがごく真っ当な指摘&理詰めで相手を追い詰めます。お婿さんにしたくない。

もう一人はT氏。恐らくどこかの会社をリタイヤしての再就職なのでしょう、結構なお年で、うつろな眼が怖いです。O氏と違い、従前のISO審査員のスメルも非常に臭います。そういえば昨日の審査では、一日中一緒に居たというのに一言も喋ってないような気がします。何しに来たんだ?

午前は私はT氏に、M女史はO氏につきます。

どうもT氏は建物の設備関係や法律関係を専門としているらしく、うちの職場の設備管理部門のヒアリングでは眼が爛々と輝いておりました。しかし睨んだとおり従前のISO審査員であることを確信します。ヒアリングの際、言葉が何を言っているか分かりません。

ISO審査時にはよくあることなのですが、審査員の中にはISO上の専門用語を頻繁に使ってヒアリングを行う方がいます。どうも審査員は「ISOがすべて」と考えるところがあるようで、専門用語も分からぬ者は認証取得の資格無し!という勢いで質問してきますが、私はそんなものは別に分からなくてもいいと思っています。要は、ISOというより、ISOで決められた全体の仕組み・構造、ひとりひとりの役割について認識していればいいんですから。知識を問う試験やっても仕方ないんです。

しかしある特定の審査員にはそういう理屈は通じないので、私やM女史のように言葉の分かる人が翻訳をして、普通の人にも分かるような質問にしてやらなければならないのです。本当にISOの審査員にはアッチの世界から話し掛けてくる人が多いです。こっちに来てから喋れ。

という訳で、どうも午前中の役割はT氏の翻訳担当のようですが、あまり鋭い突っ込みもないため適当に喋らせて時間を潰す作戦で行きます。なんだかよく分からない話をしている間にお昼ご飯です。勿論改善指摘なんてさせません。

昼休みにM女史と情報交換をしたところ、理論派O氏はやはり理詰めで各部署ヒアリングしまくったらしく、改善指摘までは行かないものの厳しいことを言われたようです。

午後からは私がO氏、M女史はT氏につきます。
ここからが本当の仕事です。M女史の仕事は午前で終わりました。

O氏のヒアリングはやはり的確で、各部署へ行ってもとどまることを知りません。しかしどうも根底には改善指摘を出してやろうというより、どうしたらよりISOを有効に使ってもらえるかという考えがあるらしく、半ばコンサルティングに近い状況になっているので、ついでに普段どうして良いか分からないことも一緒に聞いてしまうことにします。

O氏の言葉はいちいち納得できる点が多いため、いよいよ午前のT氏の審査はなんだったのかという思いが強まります。きっとM女史は今ごろ暇しているであろう。

結局O氏の審査でも、厳しいことは言われたものの大した問題は出ず、T氏に到っては論外で2日目終了です。

それにしても、なんでO氏とT氏が同じチーム組んで今回の審査に臨んでいるのかという疑問が大きくならざるを得ない審査でした。

私見なのですが、ここ数年でISOの審査というものが急激に変わってきています。以前はT氏のような、専門用語羅列のなんだかよく分からない審査が多かったのですが、最近では、いかにISOの仕組みを組織に取り入れてもらうか、審査なのかコンサルなのか分からない審査が増えてます。

背景には、ISOが注目を浴びブームとなっていた2000年前後は、審査会社もお客さんに困ることなく、ISO認証をエサにとんでもない指摘をしたり、規格の解釈を捻じ曲げたり、好き放題殿様商売な審査も行われていたようでした。しかし最近のブームの沈静化に伴うISOブランドの低下(というより適正な価値になった)で、お客さんに審査会社選択の余地ができたため、審査会社は以前のように殿様商売は出来ず、顧客主義を掲げて競争社会へ突入しています。

よって審査も「出来るだけ顧客ニーズに合ったもの=組織の役に立つ審査」という内容になってきており、O氏の審査はまさしくそれだったといえます。逆にT氏のような従来の審査手法は、今後どんどん淘汰されていくでしょう。ここ二日で、ISO新旧の変遷を垣間見た気がします。

なにやら普通に審査レポートのようになっていて、面白味も何もあったもんじゃないですが、もしこれからISOの審査受ける方がいらっしゃいましたら、少しでも役に立つのではないでしょうか?立たないですよね。すみません。




BACK   NEXT
目次ページ