|
|
■■■
■■
■ 星降る夜に君にふれれば 3
■ 第3夜 ■
リビングへと戻るとリーマスはお茶を入れている最中だった。ほどよい香がただよってきて、ああ、自分の好きな銘柄だなぁと確信する。
「君みたいに上手には入れられないけれどね。今までで一番うまくできたと思うよ。」 「うん、良い香だ。楽しませてもらう。」 「うん。」
風が止んで、周りの木のざわめきが収まった。夕暮れの茜色がとても綺麗に見えて、違う場所にきたんだなぁと再確認する。ホグワーツでも、自宅でも、別荘でもジェームズの家でもない。……初めての場所だ。 ミルクティーの柔らかさがそのまま場に和んで穏やかな時間が過ぎる。リーマスの二人きりというのは、何か引っかかりを感じたものの、それでもこの時間が嬉しかった。 ……正確に言うと、ホグワーツ以外のリーマスを見る事が出来た事が嬉しかった。
「ああ、そういえば、何か見せたいものが有るんじゃなかったのか?」
『見せたいものが有るから…』と言っていた事を思い出して口にすると、相手は笑う一方で。
「うん。でもまだ時間が早すぎるかな?…先にシャワーを浴びておいでよ。」 「わかった…」
今お茶をしてしまったせいで夕食はまだまだ入りそうにない自分を見切ったのか、先にシャワーを勧めてくるリーマスにいぶかし気な気持ちを残しつつ、教えられたバスルームに直行した。 朝からずっと暑かったから気持ちよい事この上ない。 さっぱりして出てくると、片し終えたリーマスが懐中電灯を持って外出の準備をしている。ああ、そうか。ホグワーツ以外では魔法禁止だっけ…と思い出して、その用意の周到さに驚いた。
「山登りでもするのか?」 「この辺りは山なんて丘程度のものだけだよ。」 「ふ〜ん。」
リーマスの家は自宅から電車で4時間。かなり時間もかかるし、それだけの山を超えてきたから山の中だと思っていた。案外平地なんだ…と記憶する。
「シリウス、いくら夏でもそのカッコじゃ寒いからこれを着て」
渡された薄手のブルゾンに腕を通しながらリーマスに尋ねた。
「何をするんだ?」
「イイモノ。見に行くでしょう?」
にやにや笑うだけのリーマスは答える事もなく外へと促す。訳の分からないままに連れ出されて、草むらの中を歩き始めた。
『シャワー使った意味ないじゃん……』
外気は涼しいものの、それでもせっかく洗ったのに…と不満げに思った。そんな自分にお構いなく、リーマスは度々自分を気に掛けるものの、奥へ奥へとどんどん進んでいく。
「リーマス…一体…」 「しっ!……ああ。大丈夫だ。」
『何が大丈夫っつーんだよ!』
と思った瞬間。
目の前の暗闇に広がる無数の緑色の光!
「〜〜〜〜ッッ!?」
ただただ驚くしかない自分にリーマスが笑う。
「ああ、その顔!その顔が見たかったんだ!!」
本当に嬉しそうな顔をして喜ぶので、怒るに怒れず開いた口をぱくぱくさせた。『こっちにおいで』と呼ばれて、手を握ったまま少し高い丘をのぼりきった。振り向くと、自分達に見えたのは見渡す限りの緑の光! 丘にのぼったせいか、さっきよりも一体感に囲まれて、暗闇を自由に遊び回っている中に誘われているようだった。光に包み込まれたその雰囲気が、まるで宇宙にいるようで…。
「うわぁ……綺麗だ……。」 本当に美しいものをみたのになんでこんな言葉しかでないのだろう…。 と、自分のボキャブラリーの少なさにいつもなら嫌気がさす癖に、今はそんな気持ちにもならない。そして隣の人間は自分のこんな様子に大満足のようだった。 幻想的な空間に二人、ずっと黙ったまま見とれ続けていた。しばらくその場所に座り込んで、まとわりつく愛しい光と戯れる。
「fireflyか……」 「うん。君こういうの初めてでしょ?」 「ああ、こんなふうに壮観なのは初めてだ…。」
見入ったままの自分にクスクス笑いながらリーマスがなにやら持ってきたものを掌に出した。瞬間無数の光が掌に集まりだす。
「何!?」 「大丈夫だよ、これが好きなだけだから。」
光は掌の中に有る小さな皿状のなかのものを好むと言う。暫くすると中身が無くなったのか離れていった。しかし、離れるだけではなく、そのうち光が消えだした。
「もう時間なんだよ。」 「幻想の夜にも限りが有るってことか…。」 「そういうこと。それに毎日見れる訳じゃないんだよ。」 「そうなのか?」 「ああ。前の日に雨が降って、晴天の空じゃなければ、ここにはこんなにも集まらないよ。」 昨夜雨が降ったから、きっと今日はシリウスに見せてあげられると思ってすごく期待していたんだ。…よかったよ。見せてあげられて…。 と、リーマスが少しだけ強く手を握る。 そんなリーマスにすごく嬉しくなって抱きついた。急の行動に驚いたリーマスが受け止めようとしたが、失敗して二人してそのまま地面に倒れる。
「〜〜〜ッッ!シリウス!!!」 「いいじゃんか〜!!」 嬉しいんだから。
ぴったりとくっつく自分の背中に腕をまわしながら、『まったく、分かってるのかなぁ。僕のこと…』とぼそぼそ言う。そんなリーマスを無視して、もっともっと近くにくっついてやった。どうだ!驚かせてくれたお返しだ!
リーマスはとうとう観念したように苦笑しながら、『降参…』と言って、そのまま自分の身体を抱き寄せた。
夏休みは、まだ始まったばかり…。
TO BE NEXT!!
■はい。三話目です!!ホントは昨日の夜にアップしようと思ったのに、なんか寝ちゃったよ。…疲れが…。(苦笑)まぁ、こんな感じでまだまだ続きます。なんていっても成立編だからね!一週間の密度は濃いですよ!!ふあっはっは!(なんつー笑いかただよ) ちなみに、シリウスのお家とジェームズの家はオックスフォード辺りがウィンザーのどっちか。リーマスの家はカマーゼン近郊(つまりはウェールズ!これは譲れない!!)ピーターはマンチェスターあたりを想像しております。ふふふ。マイ設定は果てしないよ!?(キラ〜ン)あと、英国に螢はいるのか!?という話ですが。 居ます!(断言) いますですよ!本日、仕事の合間に調べてきました!!(オイ!)ちゃんと英国にも螢は生息します。ただし日本のそれとは異なった種類ですけどね! ヤマダ、成るべくウソは描かないように気をつけています。(気持ちだけ!) さて、今夜はチャットの日ですが、それまでにリーシリ裏小説をアップできるかなぁと画策中です。タイムリミットはあと1時間30分!!頑張ってみま〜ス!!ちなみに明日は長野市へ悪友とくり出すのでお休みです!さぁ!バケーションだ!(近場で終わらせる私。)
2002年08月18日(日)
|
|
|