「先生は紺野のことを贔屓してる」 「先生は紺野に一番愛情を注いでる」
その言葉を聞いた時、私はまたいつものように 先生は冗談を言っているのだと思って、笑い飛ばそうとした。
だけど先生の表情は終始、真剣そのものだった。
それはまさに私が望んでいたもの。 奥さんに敵わないのなら、せめて生徒の中で一番になりたかった。 その夢が叶ったんだ。
だけど友達は、そんな先生のことを「都合のいい男」だと言った。
確かに、そうなのかもしれない。 実際、私もそう思った。 だけど私には100%そう言って、切り捨てることが出来ない。
先生を嫌いになる要素なんて、探さなくても沢山見つかるはずなのに 私にはどうしても先生を嫌いになることが出来ない。
先生への独占欲にまみれた醜い自分自身の手で。
|