高3クラスでの授業、五日目。
「紺野は、A先生のこと好きなんやろ?」 「うん♪」 授業後の何気ない私と先生の会話。 「けど1番は先生だよ?」と言えなかった…。 A先生とは、通常講座では数学を教えてもらっていて、4月から新しく入った先生。 だけど塾の中では一番年上で、昔は学校の先生をしていて 今、私が通っている学校にも長くいたらしい。 はっきり言って、私とA先生は仲が良い。 けどそれは、みんながA先生のことを、授業の方針などで嫌っているのと対称的に 私一人は先生を慕っていたから、自然に仲良くなったんだと思う。 だって「人」は、嫌うよりも好きでいた方が得るものが多いから。 年齢は、軽く65は超えていると思う。 それでも、数学や化学の授業ができるのってすごくない? 私には、生まれたときから、おじいちゃんがいなかった。 (父方にはいたけれど、仲が良くなくて去年の暮れに離縁しました) だから、まるで、おじいちゃんができたみたい。 A先生への「好き」と K先生や、K先生と同い年くらいの先生達への「好き」とでは、全く違う。 A先生へは恋愛感情なんてあるわけがない。 だけど…。
ねえ、先生? どうしてそんなこと言うの?
何か不吉な予感がする。 ときどき、ものすごく独占欲の強いあなたに…。
私が他の先生と楽しそうに話していると、K先生からの視線が突き刺さる。
ただの偶然かもしれないけれど…。
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