2002年08月04日(日)  自己主張 しなくちゃ損なの? 西の国



酢豚ってなんであんなに酸っぱいんですか。
酸っぱくした方がおいしいですか。
私はそうは思わないですが。
それにあのドギツイ赤色はどうにかならないですか。
って、私が食べた酢豚が悪かったんですかね。

---

オーストラリア人は、おおらかで寛容な人間が多いと思います。
「気にしな〜い」が口癖だったりします。

でも、ひとたび自分にとってちょっとでも不利益なことが起こると、
電光石火のごとく怒り出し、えらい勢いで主張を始めます。
そして、自分の主張は絶対に正しいと信じて疑いません。
だからこそ、あんな剣幕で主張できるんだと思いますが。

これは、特に女性に多かったりします。


今日、こんなことがありました。

ホストファミリーの下の子、エレン(4歳)が、
お向かいの子、ジェイミーと仲良くお人形で遊んでいました。

ところが、しばらくして2人の間で何か言い合いが始まり、
ジェイミーは、ふいに怒って帰ってしまいました。

何事かと思ったホストマザー(以下、マ)は、
エレン(以下、エ)に何があったのか尋ねました。

マ「ジェイミー、なんで怒って帰っちゃったの?」
エ「知らないよ」
マ「何か意地悪なこと言ったんでしょ」
エ「言ってないもん」
マ「じゃあなんで帰っちゃったの?」
エ「おもちゃを返せって言うから、
  イヤだっていったら、怒っちゃったの」
マ「それって、この前ジェイミーがくれるって言った
  おもちゃでしょ? なんで返して欲しいの?」
エ「知らない」
マ「きっと、くれたんじゃなくて、
  貸してくれただけだったのかもね。
  でもそれだったら、私のところにきて、
  『あげたんじゃなくて貸しただけだから、
   返してください』って言えばいいのよ。
  怒って帰ることなんて何もないじゃない」
  (↑この辺でエンジンかかり始めてます)
 「ジェイミーは、そう言うべきなのよ!
  これから、そのおもちゃを持って、
  ジェイミーの家に行って突き返してやるわ」

はい、ホストマザー、疾風のごとく、
そのおもちゃを掴んで出て行きました。
「ジェイミーは、そう言うべきなのよ!」
を何回も繰り返しながら。


てかね、相手は子どもでしょ。
しかも、なんでこんな些細なことで、
そこまで熱くなれるのかよくわかりません。

そもそも、エレンが言ってることが
正しいとは限らないわけだし。
ちょっとは自分の子どもの非も疑ったらどうですかね。

彼女の中で、
「ジェイミーがそう言うべきだ」
→「ジェイミーが言わないのがいけない」
という部分にスポットライトが当たってしまったんでしょう。

自分の子どもがそのおもちゃを「もらった」と勘違いしたことは、
もはや、論点ではないようです。


英語で、「怒る」ことを、
lose one's temper と言ったりしますが、
lose は「失う」 temper は「平静な気分」を表します。
つまり、「平静な気分を失ってかっとなる」という感じです。

人がこの状態になると、もう議論できない状態です。
自分の主張ばかりが先に立ってしまい、
お互いの論点がずれていたりするので、
いつまでも平行線をたどり、解決にはなりません。

もちろん日本人もよくこの状態になりますが、
オーストラリア人は、この状態になることが、
断然多いように感じます。
しつこいようですが、特に女性。

しかも、いったんヒートアップしてしまうと、
そのままヒートダウンしないことが多いので、
そのことについて、もう一度考え直してみるチャンスを失い、
独りよがりな主張をいつまでも続けたりしてしまいます。


これも、オーストラリア(というか西洋)教育の
なせる業なんでしょうな。

幼稚園でも、自分がやって欲しくないことには、
きちんと NO と言う教育をします。

自分の考えや要求を主張できるのは大事なことだと思いますが、
相手の主張もそれなりに根拠があるわけで、
NO と言う前にそのことを考えてみるのもいいのでは、
と、日本人の私は思うわけです。


人口過密状態の日本でそんな教育をしたら、
1億数千万の国民がわけのわからん主張を始めて、
収拾がつかなくなるので、大変です。
そんな教育、日本では厳禁です。
私ら日本人は、譲り合わないと生きていけませんもの。

自分が肺ガンになったのは、
タバコのパッケージに「身体に悪いですよ」という
注意書きがなかったからだ!
とか、

愛猫をお風呂に入れた後、乾かそうと思って、
レンジに入れたら、猫が死にました。
それは、レンジの取り扱い説明書に
「猫を乾かしてはいけません」って書いてなかったからだ!
とか、

そんなことで裁判起こしてる暇は、私らにはありませんもの。


つづく。


投票ボタン(文字が変わります)↑



日記のもくじ昨日の日記明日の日記
たまり |mailHP