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ゴールデンウィークが終わってもう3週間ほどになる。 書こう書こうと思っていたのに、つい伸ばしてしまった。
先日の日記にも書いたように、祖父の白寿のお祝いに出席をした。 もう誰を見ても分からないほど年老いた祖父。 それもそうだろう。明治39年丙午の生まれ。 私よりちょうど60才上だ。
それでも楽しく宴は進み、飲むや喋るやでもう大騒ぎだった。 宴も佳境に入ると、祖父の面倒を見ている叔父がマイクを握りしめて言った。
「えぇ〜、今からビンゴ大会をやります。 賞品はお祖父ちゃんが趣味で集めていた骨董などなど・・ 形見わけというわけではありませんが、賞品は全家族に用意しています。」
ビンゴで形見分けかぃ。 いやいや、まあまあ、形見わけみたいなものということで・・
そういう声もちらほらだったが、カードを握りしめた子供達は必死だ。 14家族争奪じいちゃんの形見分け合戦の幕開けである。 (まだ生きてるっちゅうのに)
一番にビンゴになったのは長女チームで、なんと象牙に彫られたお釈迦様だった。 全長1メートルはある大きな象牙に、細かく綺麗な彫刻がされていた。 2番目のビンゴは妹チーム。大きな大きな木のついたてだった。
しかしなんだかんだ言っても、私の姉妹達は強い。 3番目は余所の家族に持っていかれたが、4番目は私がゲットした。
なんと
なんと
亀のハクセイだった。 体長が70センチはあるだろう、大きな大きなカメのハクセイ。 (こんなんをどこに飾れっちゅうねん)
で、5番目も6番目も私の姉家族がビンゴを引き当てた。 とととんでもない勝負強さ。
なんて笑っていたのに、あれから3週間で 本当の形見になってしまった。
今日、祖父が亡くなったと云う知らせが届いた。
今、私の目の前には出席者全員で撮った記念写真があるのだけれど その中のお祖父ちゃんは笑っている。 なぜだかその横で曾祖母の遺影を抱いた我が娘も笑っている。 実母も姉達も叔父や伯母も、そして私も、 3週間前にはみんなが晴れやかに笑っているのに・・。
写真に添えられた叔父の手紙には 「お前の子供の頃の想い出はあまりないけど、 お前がこの世に居るという事は、じいちゃんが居たからで有ります。」 そんな一文が綴られていた。
私の気持ちを見透かされているようで、 というより、私の気持ちを察してくれたことが嬉しかった。
ああそうだ。ここが私のルーツ。 例え想い出は少なくとも、ここが私のルーツであることに間違いはない。
みんなが集まれて良かったね。 みんなが笑顔で良かったね。
置き場に困りつつも大切にするから。 今となっては本物の形見になってしまった、大きな大きなカメのはくせい。
合掌
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