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夕食中に雷が鳴って、娘がちょっと怪訝な顔をした。
「雷ってねぇ、神様が怒ってる怒鳴り声なんだよ。 何を怒っているのかなぁ・・・」
神様か。 でも娘の考える神様って、いったいどんな神なんだろう。 訊いてみると白い髭を生やしたお爺さんだそうだ。 まるで「ロード・オブザ・リング」に出てくる魔法使いのようだと思った。
宗教について考えることがたまにある。 私自身、無宗教だと思っているが、神の存在は信じている。
キリスト教の神でもなく、仏教の神でもなく、 自分の先祖でもない。
私の中にいる、私だけの神。 そういう表現以外は思いつかないのだけれど。 とてつもなく大きな存在であるその者に、抱かれて生きている。と思う。
私は宗教を否定しない。 新興宗教と呼ばれるものも基本的には否定はしない。 ただオウムの事件のように、正義という名の下に傷つけようとしたり、 霊感商法のように信仰心を逆手に取るやり方は許せない。
神を信じて心安らかに過ごせるのであれば、それはそれで良いと思う。 ただ布教活動と称して、信仰心の押し売りはゴメンだけれど。
昔、友人と宗教について話したことがある。 世間話程度の話しなら誰とでもするのだが、 深く掘り下げた宗教の話しとなると、やはり二の足を踏んでしまう。
彼女は新興宗教に入信していた。 入信というよりも、生まれた時点で親が信仰していた宗教に 自動的に入信させられたと言った方が正しい。
ご両親も姉弟も熱心な信者であったようで、 ご両親はその宗教関係のお仕事をされていたようだ。
子供の頃からそれが当たり前で育ってきて、 自分が人と違うということに気がついた思春期。 とても言えなくて悩んだらしい、彼女は誰にも話さなかった。
そんな彼女の宗教観がある日崩壊した。 目の前で起こった悲惨な現実に、自分が信じてきたものを見失った。
神がいるというのなら、なぜ私から愛息を奪う。 なぜ夫も自分も病で伏せる。 そして・・・ なぜ夫と自分を引き裂くのか。
彼女の叫びは悲痛なものだった。 彼女は30年以上信じた神を捨てた。 それはきっと、とても辛くて、苦しい決断だった筈だ。
それからの彼女は、いろんな本を手当たり次第に読みあさり 自分の中にいる神を見つけた。 自分だけの神を見つけた。
その数年後、彼女は神に抱かれた。 ただ安らかに眠るために・・・
これからしばらく、彼女のことを綴っていこうと思います。 彼女がこの世の生きていたという証に。 彼女がかけがえのない友人だったという証に。
あの日から、もうすぐ1年が経とうとしています。
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