たそがれまで
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2003年06月12日(木) 友のこと 1




夕食中に雷が鳴って、娘がちょっと怪訝な顔をした。

「雷ってねぇ、神様が怒ってる怒鳴り声なんだよ。
 何を怒っているのかなぁ・・・」


神様か。
でも娘の考える神様って、いったいどんな神なんだろう。
訊いてみると白い髭を生やしたお爺さんだそうだ。
まるで「ロード・オブザ・リング」に出てくる魔法使いのようだと思った。




宗教について考えることがたまにある。
私自身、無宗教だと思っているが、神の存在は信じている。

キリスト教の神でもなく、仏教の神でもなく、
自分の先祖でもない。

私の中にいる、私だけの神。
そういう表現以外は思いつかないのだけれど。
とてつもなく大きな存在であるその者に、抱かれて生きている。と思う。




私は宗教を否定しない。
新興宗教と呼ばれるものも基本的には否定はしない。
ただオウムの事件のように、正義という名の下に傷つけようとしたり、
霊感商法のように信仰心を逆手に取るやり方は許せない。

神を信じて心安らかに過ごせるのであれば、それはそれで良いと思う。
ただ布教活動と称して、信仰心の押し売りはゴメンだけれど。




昔、友人と宗教について話したことがある。
世間話程度の話しなら誰とでもするのだが、
深く掘り下げた宗教の話しとなると、やはり二の足を踏んでしまう。


彼女は新興宗教に入信していた。
入信というよりも、生まれた時点で親が信仰していた宗教に
自動的に入信させられたと言った方が正しい。

ご両親も姉弟も熱心な信者であったようで、
ご両親はその宗教関係のお仕事をされていたようだ。

子供の頃からそれが当たり前で育ってきて、
自分が人と違うということに気がついた思春期。
とても言えなくて悩んだらしい、彼女は誰にも話さなかった。




そんな彼女の宗教観がある日崩壊した。
目の前で起こった悲惨な現実に、自分が信じてきたものを見失った。


神がいるというのなら、なぜ私から愛息を奪う。
なぜ夫も自分も病で伏せる。
そして・・・ なぜ夫と自分を引き裂くのか。


彼女の叫びは悲痛なものだった。
彼女は30年以上信じた神を捨てた。
それはきっと、とても辛くて、苦しい決断だった筈だ。


それからの彼女は、いろんな本を手当たり次第に読みあさり
自分の中にいる神を見つけた。
自分だけの神を見つけた。




その数年後、彼女は神に抱かれた。
ただ安らかに眠るために・・・







これからしばらく、彼女のことを綴っていこうと思います。
彼女がこの世の生きていたという証に。
彼女がかけがえのない友人だったという証に。

あの日から、もうすぐ1年が経とうとしています。




東風 |MAILHomePage

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