■オバケ其の１

『俺、30なんだけど』

『あたし23だよ』

『何してるの？』

『…あなたは何してるの？』

その直後、今まで普通に会話していた殿方の声のトーンが低くなり
もんのすごく聞きにくい、ボソボソした声に変わってしまいました。

『ぢんぢんざわっでどぅ〜』

『え？』

『ぢんぢんざわっでどぅ〜』

なんで、そこだけ小声なんだよ。いたずら電話みたいで恐いんですけど！

『…オバケ屋敷？』

ガチャン！プ−プープー

また切られてしまいました。１人、先走る殿方の気が早いのか
乗ってあげられない亜美が悪いのか。みなさん、どう思います？
生理も近くなると、いつにも増してノリが悪くなるんですよね。
だって、馬鹿みたいなんだんもん！怪しいとエッチは別物なのにー。

亜美には『ぢんぢんざわっでどぅ〜』としか聞こえなかったんだけど
多分『チンチンさわってたよ〜』って言ってたんだと思います。ぶー。

■オバケ其の２

『もしもしぃ』

『・・・』

『もしも〜し！』

『（ガサゴソ…）・・・』

無言です。いつもの事です。こんな時は朗読開始。

『サァサァ御らうじませ、これがくもにかけはし、かすみにちどり
およびでないとておもふまいものか、ハリトウハリトウ』

亜美は、この日彩色江戸物売図絵という本を読んでいたので
その中の「玉すだれ売り」の文句を講談風に読み上げてみました。テケテンテンテン

『たけ田あふみのつもりざいく、玉すだれはやがはり』

『ボソボソ…（何かつぶやいている）』

今まで無言だったくせに、何か言ってやがります。
何を言ってるのか聞き取れないので無視して朗読を続ける亜美。

『おこどもさまがたの〜おなぐさみ〜』

『何してたの』

『ん？なぁに？』

『何してたの』

やっと言葉を発する気分になったようなので、話し掛けてみました。

『そっちこそ何してたの？寝てるかと思ったよ』

『起きてたよ』

『目、さめてる？おはよ！』

『何してたの？』

『本読んでたけど…（…聞いてたくせに）』

なんとも会話になりません。なんか違う事言えよ！
っていうか、この場合、何してたの？と聞く権利があるのは
あきらかに亜美のほうだと思うんですけれども。ねぇ。

余談ですが彩色江戸物売図絵はテレレ仲間の１人に勧められて買ってみました。
とても面白いので興味のある方は是非、チェックしてみてください。

それにしても殿方達は、どうして『何してたの？』しか言えないのかな。

あ。そうだ。あとね、つながった途端に思いっきり悩まし気な声で
『何してるのぅ〜』とか言ってくるから、亜美も（喜んで！）の心意気で
悩まし気に『今ね、エッチなマンガ読んでたよ』って答えたのに。

切られました。なんでだ。何がいけなかったんだ。気持ち悪かった？

亜美はテレパシーが使えないので、いくら頑張っても殿方の思う通りの
受け答えは出来ないんですよぅ。ヒントをくれてもいいじゃないですか。
冷やかしでもなさそうなのに、答えが気に入らないと切ってしまう人は
２ショットに過大な期待をしすぎているのかもしれないです。

そんなあなた、サクラと言えども生身の人間なんですから
何も言われないうちから個々の殿方好みの会話なんて出来ません。
ちゃんとコミュニケ−ション取らないとダメですよ！まったくもぅ。
なーんてテレレの亜美ごときに言われたくないかもしれないけどさ。

普段の人付き合いも、そんな風にしていなきゃ良いけど…と
要らぬ老婆心を抱いてしまう亜美なのでした。

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