日本一短い母への親孝行・・ - 2002年08月28日(水) 「おいしいキムチラーメンがあるんだて〜。」 実家に帰ってから耳にタコができるほど、 私はそう何度となく母から聞かされてれていた。 そんなにおいしいなら東京に戻る前に食っとくか! と思い、一人でズ〜ルズルと食べるのもわびしいので 母も誘うことにした。 「ねえ〜キムチラーメン食べにいかない〜。」 「いいよ〜。いつ〜?」 「明日の昼。おごるよ!」 「エ〜!いいの〜、悪いよ〜。」と母。 「悪いよ〜」とは言いながら、大福餅のような顔 がさらにデレ〜っと伸びたりしてうれしそうだ。 なんか良い提案したネ〜私。 で、母が言うには、そのキムチラーメンには味が2種類 あるらしい。醤油ベースと味噌ベース。 「おとうさんとさ〜、この前2人で行った時、私は味噌で お父さん醤油の方食ったんだて〜。そしたらそれが まぁ〜ずかったんだて〜〜。やっぱ、味噌だて〜〜。 グワハハハ〜!」 私にレクチャーしながら、得意げな母である。 どうやら、1/2の確率で父が”ババ”を引いたのが 愉快痛快でしょうがないらしい。 ・・・大人げない。 ところで私は今まで生きてきて、母には一回しか おごった経験がないという親不孝もいいとこの娘である。 記念すべき第一回は、思い起こせば十数年前、 ファーストフード店のアイスコーヒーだった。 たまたま一緒に買い物をしていて、喉が乾いたというので コーヒーをごちそうしてあげることにしたのだ。 それ以来私は「コーヒー通の母親にどーしようもない マズイ出がらしアイスコーヒーをおごった女」として 実家の歴史に名を残すこととなってしまったのであった。 あの時はジャンクな店を選びすぎた。で、あれほど母が マズがるとは思わなんだ。 だが、今度は違う!明らかに「おいしい!」と本人が言う ものをおごるのだ。 これは、感謝されるハズだ。汚名挽回のチャ〜ンス! 次の日、家から歩いて7分ぐらいの所にある そのキムチラーメンの店へと向かう。 母はチャリで私は歩きである。 母に案内されて店につくと、そこはナント、去年の夏、 同時に帰省していた妹と一緒にラーメン食った店ではないか! 父親に「うまい!」と勧められて行ったのだが、 特別「イケル!」てなワケでもなかったという評判倒れの店。 オイオイ、大丈夫か!? ・・・不安である。 さて、席につき、メニューも見ないでお目当てのモノを オーダーしようとすると、 「あたし、中華丼と普通のラ〜メンのセットがいいな〜。」 と突然な母。 (エッエ〜〜〜!今日はキムチラーメンじゃあ・・お母様・・。) 結局、母の所に運ばれてきた物は、思いつきで頼んだ 中華丼と普通のラーメンのセット。 まあ、いいか!親孝行に押しつけは禁物である。食いたい物を 食ってもらうのが一番ではないか。 だが、そう思い直したのもつかの間、私の耳に聞こえてきたのは 「ゲッ、、このラーメン煮干しで出汁取ってるて〜〜、 あたし嫌いだて〜〜。」という信じられない声。 (ウソでしょ〜〜お母様・・) その後も母は私のおごりだということを忘れたかのように、 「おいしくなぁ〜い。油っぽ〜い。煮干しが生ぐさぁ〜い。」 を目の前で連発。 さんざん騒いで半分残し、とっととレジを通り過ぎてゆく母。 さんざん騒がれて半分残され、レジでお金を払う私。 店を出るとすでに母はお気に入りのチャリにまたがって 「ハァ〜イ!」と私をお出迎え。 自転車なのに歩きの私に合わせてもらうのも悪いと思い、 「お母さん、先帰っていいよ。」と言うと 「そ〜お!じゃっあね〜〜〜〜!」 母は躊躇いもせず、ビュ〜ンとチャリをこいで行ってしまった。 ・・・あ〜あ・・・・・・・・・・。 こうして私の短い親孝行は終わったのだった。 おしまい。 ...
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