間借りなりにも! 抵抗勢力の巻 - 2002年08月03日(土) 数日後、またぬか漬けキュウちゃんはやって来た。 びよ〜んびよびよ〜んとS婆さんの手に揺られて。 しかし、何故かその日を最後に、S婆さんは もう私にぬか漬けをくれる事はなかった。 漬けているのが、キュウちゃんだけであるハズがない。 カブやにんじん、果ては大根まで漬けているハズである。 貰っとかないと。 そう企んでいた私は、宝塚歌劇団のように、 腹から声を出し思いっきり派手に、そして大きな声で 喜びを表現してみたのだが、ダメだった。 バレたのか!?だとしたら、さすが年の功。 それ以来、S婆さんの顔がぬかに見えて仕方ない。 外で会う度に「カブ!」「にんじん!」などと、 心の中で叫んでしまう始末であった。 そんなこんなで暮らしているうち、あっという間に月日は経ち、 4ヶ月が経とうとしていた。 ちょっと、間借りのつもりが、はや4ヶ月とは・・。 これでは”パラサイト夫婦”である。 いいのか?いやいや、それは大人としてマズイ! 急いでアパート探しである。 やる気を出せば、結構あっさりと住まいは決まり、 私達にその団地を出る時が迫った。 あと、一週間ほどで引っ越しというある日、 私は団地から旅立つ事をS婆さんに告げた。 S婆さんはちょっとビックリしてから、顔がみるみる しぼんでゆき、とっても残念そうにしてくれるのであった。 「これは、お婆さんとその孫娘のように心が通いあった 証に違いない!」そう思った私。 しかし、S婆さんが気落ちする理由は意外なところにあった。 彼女は言う。 「え〜、婦人会の役員になって欲しかったのに〜。」 自分が退任した後釜に私を推すつもりだったらしい。 「いえ〜、私には無理ですよ〜。」と返してみるが 「あらぁ〜、残念だわ〜。次の役員はあなたしかいない! と思っていたのよ〜。」 S婆さんは諦めきれない、といった風である。 う〜ん、良かった。推薦される前にここを出る事になって。 私は自慢じゃないが、結婚式の友人代表スピーチも立候補 してしまうような出たがりの女である。 そんな要職に着いたひにゃぁ〜、必要以上にビシ!バシ!と やってしまうに違いない。 団地の構造改革へとまっしぐらだ。 そうなると、問題は昔からここに住む爺さん婆さんである。 古いものは新しいものがキライなのが、一般論。 当然私が指揮を執る政策が気に食わないに違いない。 私はそんな抵抗勢力には、屈しない。 なので、より反感買いまくりだろう。 そうなると、「どうせ間借りさ!」と決め込んでいる 私と旦那はいいが、永住するかもしれない 弟に非難の目が集中するやもしれぬ。 それは大変なコト。 可愛い弟のバイクがイタズラされたり、玄関の扉に 「バ〜カ!」などと書かれては、申し訳ない。 なので「役員に!」と言われても困るのである。 早く皆さんの幸せの為にもここを出なければ! S婆さんの顔を見ながら改めて思う私なのだった。 おしまい。 ...
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