あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
(メタセコイア、千年の樹) 2004年12月22日(水)

約束されるものが欲しくて
私たちは木を植えたのだった

水辺には鳥たちが羽を休めている
パンを投げ与えれば
大騒ぎをしながら寄り集まる
今は一羽しか覆うことのできない木陰も
鳥たちの子供のその次の子供たちをも
休ませることができるほどになるだろう

若木の伸びゆくほどに
木の葉は落とされるだろう
泥の上に落ちた葉は
深く沈められ
木の事も木を植えた私たちのことも
そこに水辺があったことすら忘れられた頃

一枚の化石となって掘り起こされるだろう

ああ、その石を拾う人は
私たちの営みの事を知らぬままに
触れるのだ
私たちが託した密かな祈りに

素早く
私たちは口付けを交わした
鳥たちは気づきもせず
パンに群がるばかりだった





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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe