あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
八百比丘尼 2004年12月11日(土)

三千の海の底に真実を見つけようと
祈る人の手のひらは
美しく、しわ一つないのであった

 生きることを望んで争いが起きます
 争うことを厭うて堕落が訪れます
 欲することそのものが罪なのであります
 このわたくしは
 望むことを放棄しながら
 世界の調和を祈るのです

私の手、に
つながれた伴侶の手にも
土にまみれたしわが刻まれ
いくら洗い流しても、落ちない
汚れ
平安は遠い、と言うと
土はいつか平らになると
濁った眼球がまばたき、海で見た
牡蠣の内側の色を
思い出したのだった

祈る人は海をわたり
今も遠くへと旅をしているだろう
わたくしたちは此処で、踏みしめるのだろう




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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe