(その5) 2004年09月19日(日)
光が満ちるまでのあいだ 昔話でもしよう わたくしが一面に広がる土で 耳たぶも踵も 持ってはいなかった頃のことを 雨は降り 波紋は作られたが その大きさを測るすべを わたくしは持たなかった 何故ならわたくしは いちめんに広がる土の ひとくれでしか無かったのだから あなたが聞いた雨音を わたくしは知らない 雫の重さも、冷たさも 暗闇の意味も 光も あなたの足が踏みしめた その小さなくぼみ、 そこに私の種子が芽生える その刹那まで なぜ掌があり 五本の指は魚のように動き出すのか 知っているだろうか あなたの重み その凝縮されてゆく土の中で のぞみが生まれた その瞬間の秘密のことを 昔話をしよう、もう少しだけ ひかりが満ちる その時までに |
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