あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 冬の朝 2002年01月01日(火)

凍った空気を

 肺の奥に詰め込みながら

 僕らは川べりを歩く

 白く白く

 世界はただ白く

 凍り付いて

 僕らの足音も

 世界の静寂には勝てない


 吐き出す息の白さ

 空にある太陽の白さ

 彼方にそびえる山だけが

 白を蒼に変える力を与えられて

  
 静寂に導かれ

 りんりんと尖る山の頂きに

 ゆうゆうと広がる平野の縁に  

 僕は世界の輪郭を探し

 やがて辿り着く

 君の体温に震える


 どうして

 こんなにも確かに

 君はそこにいるのだろう

 世界は硝子細工のように

 沈黙を守り続けているのに

 繋いだ指を通して

 僕を目覚めさせる君の音

 零下の空気を解かす

 君のくちびる

 ああ

 冬だ

 君がここにいる

 確かな冬だ


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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe