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■やわらかな距離
ふわりと近寄る距離。 それ以上縮めることも、上手に擦れ違うことも今やできなくなっていて。
曖昧な気配を感じるだけの距離に立っている。
刺激や変化を嫌って、 やわらかな距離と時間に留まって。
花が枯れていくのを見ている優しさに似ているようで少し、本当は焦ったりもする。
目を伏せて意識的に、もしくは無意識的に チャンスの女神様が悠々と歩いて去るのを見送っていた。
衰えた脚では一歩、踏み出すのも難しくて、 きっと、 一歩、初めて踏み出すのが一番難しいのかも知れない。
見送るつもりでいた。 枯れ始めた花を急に、慌てて育てるのに躊躇している。
女神様も少し飽き気味で、 あまり、こちらにはお寄りくださらなくなったご様子。
やわらかな距離 枯れ始めの花 触れようかどうしようか迷う自分の指先を少し、 まだ、眺めている。
2005年08月09日(火)
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