告白は喉の奥
L.ニトロ



step


頭がいいと、よく言われる。

なにがだ。どこがだ。と、思っていたけど、ずっと。
彼等はただ「頭がいい」と言っただけだと、やっとこの年になって気付く。

それは例えば「声がいい」とか「瞳がキレイ」だと、ポロリと思ったままに言うのと同じで、別に美人だとか君を好きだと言ったわけではない。

だから誰も私も間違っていない。

多分、と思っていたことが漸く確信に近付く。
頭がいいとか器用だとか飲み込みが早いとか、それはたったそれだけに過ぎなくて。
やらなければ積まなければ掴まなければ、同じ。
大筋を飲み込んで仕上げても駄目。
プロが仕上がりを見れば、理解して造られた物なのか、器用な人間が見よう見まねで造ったイミテーションであるのかなんてすぐにわかる。
よくできていたって、駄目なんだと知ることができて嬉しい。

今のままで勿論、なんでもできる。どんな物でも造れる。
中身が無くていいなら。(笑)

次の一段があることがやっとわかった。
自分の頭がいいとか悪いなんて、その程度のことに躓いていたせいで、その程度のことには躓かずに来た人達よりも遙かに出遅れていることも。


私はまだ、貴方に追いつけますか。
貴方に待ってもらわずに追いつけますか。


この鈍った脚は本当に、走れるか。
或いはせめて、歩けるか。

2005年05月06日(金)
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