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らんだむうぉーくー回顧録ー
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モバイル用 2014年06月08日(日)

私は高校入学前後にホーキングの宇宙論に魅せられ、
大学後半で観測的宇宙論という分野を知ってから
宇宙の始まりを深く理解したいと考えていました。

私のそもそもの研究は宇宙マイクロ波背景放射という
ビッグバン宇宙論の残り火の観測をとおして
宇宙の始まりを理解することでした。
しかし、そこへむかうまでにひとく遠回りをしてしまいました。
観測するための観測装置の開発をしていたからです。
その装置は理論的にも実証実験も成功してはいましたが、
実用化するにはあまりにも問題の多いシステムでした。
遠回りしている間に、最短ルートで宇宙マイクロ波背景放射の観測を
行うグループが沢山立ち上がりました。
それらのグループは実際地道に観測を続けています。
自分は宇宙マイクロ波の観測を行おうとしているというには、
そういった人達に比べれば、おこがましいと思っています。

そういったなかで宇宙マイクロ波背景放射の次に
宇宙論としてのトピックになると考えられるものは
中性水素21cm線の観測とそれに伴う宇宙で最初の天体形成
に係る研究でした。水素は宇宙で一番多い元素で
天体形成には欠くことのできない材料の一つです。
新しい大学へ移った時、このテーマをどうにか実現できないか
考えに考えていました。しかしこれは大学の一研究室で行うには
技術的にも組織的にも到底手が出せないものでした。
この点では卒業研究に関わった多くの学生さんたちには
大変申し訳なく思っています。5年どうにか出来ないか
頭を痛めて考えてみたものの最終的には徒労に終わりました。

こうして5年間全く成果を出さないまま今に来てしまいました。
今自分に残されていることは実証できるが実用化の難しいシステムの
まとめと宇宙マイクロ波背景放射の観測を行う衛星計画で
何らかの寄与をすることです。
また実際に宇宙マイクロ波背景放射の観測を行うための
手前の天体の物理現象を探ることもできるかもしれません。
もしかしたら可能かどうかは別として
海外へ行って中性水素の観測に従事するという方向も考えられます。

こういったこととは全く別に現在研究員として行っている仕事は
起源がわかっていない超高エネルギー宇宙線の電波受信機を用いた
検出です。正直テーマには興味は持てないけど、
あるのかわからないものを探すのはどうであれ重要な事だと思うのです。

自分はまだ研究をする資格があるのかわからないんだけど、
やれるだけの事はしないと納得がいかないと思うのです。
後戻りするには歳を取り過ぎました。