今日もガサゴソ
INDEX|戻る|進む
君のことを探して校庭を見るんだ とても冷たい乾いた風が粉雪をふきちらしていて くるくる雪が渦巻くんだ 君がいないこと知っているんだけれど でも、見てしまうんだ
病気になんてなってさ、ひどいよ 寒いんだから 本当に、心が凍ってしまいそうだよ
僕の家の南側の通り、君、いつもそこを通って登校するだろ? 僕の家の丁度真ん前に大きな水たまりがいつもあってさ いつも君がそこで立ち止まるのを知っていたよ。 君は知らなかったろうけれど。 君が僕を知るよりも前から、僕、見ていたんだ 空、見ていたのかい? 冬になって氷が張ると、君、いつもその氷をそっと踏んで 割っていたろ? 僕、今日、見に行ったよ。 もしかしたら君の足跡が凍って残っているんじゃないかって、 バカみたいだろ?笑ってもいいよ
いつになったら学校に戻ってくるんだい? クラス委員の会議で君の教室に行ったんだ 教室の後ろの黒板に 君からクラスのみんなへの手紙が貼ってあったよ 僕、それ読んだら泣きそうになっちゃったよ もっと僕に手紙を書いてよ 教室の手紙にはまた手術をするって書いてあったね 手術手術って、君がそっちの病院に移ってから何回目になる? お医者さん、確かなんだろうか 疑いたくなっちゃうよ 僕、なんだか勝手なことばかりいって 君を困らせてる ごめんよ 君、痛かったり辛かったりしていない?
そうだ、君の教室に行ったとき、教室の後ろの方に 大きな紙袋が下げてあって、 君に千羽鶴を贈るからみんなで折りましょうって、 (あれ、君にばらしちゃって、二組の連中に怒られちゃうかな、許せ!) それで、僕も鶴を折って入れておいたよ。 折り方を知らなくて、Sさんに教えてもらってさ 彼女が「書け書け」っていうから、 折り紙にメッセージと僕の名前を入れておいたよ Sさんがつなぐときに上の方にしておいてくれるって 君に僕の鶴、見つけられるといいな。 鶴はたくさんできていたよ。千羽なんかとっくに越しているよ 二組の連中、一体、何羽折るつもりなのかね 君の退院の方が早かったらどうするんだろう
君がいないと、委員会活動もなんだかつまらないんだ 君がガンガン何かいったりしてくれないと 意見も何にも出なくてさ。 教室も委員会も君の席が空いていて 悲しくなっちゃうよ
一日も早く帰ってきて ちゃんと直してからじゃないとダメだけど そうでないと 前に手術した時みたいにさ 病院に逆戻りなんてことになったら大変だもの 僕たちもうすぐ中学なんだから
勉強はどうしているの? 少しくらい遅れたって大丈夫だよ 僕が教えてあげられるようにしておくよ 出席日数、大丈夫かな 進級できないなんていったら、僕、校長先生と 教育委員会にひとこと文句いってやる ほんと、そんなことになったら爆弾でもしかけてやる そんなことしたら、君が困っちゃうね
困らせてばかりでごめんよ 寂しいんだ 許して欲しいな 手紙を書いて 家に電話くれてもいいんだよ 君の声、忘れてしまいそうだよ 待っているよ
|