三楽の仕事日記
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2011年02月06日(日) |
平成4年度附属名古屋中での答辞 |
日曜日。選挙に出かけたり、片づけ物をしてハードオフに機器を出したり、ブックオフに本を出したりする1日。
中学校ではそろそろ卒業式の準備に入る時期。片づけ物をしていたら、平成4年度附属名古屋中学校での答辞が出てきた。
僕が3年生担任であった時のことだ。この答辞は以下に示すが、通常の答辞とはまったく違うものだ。「卒業生の代表として最後に伝えたいことを形式にとらわれず書いてごらん。もちろんそれは個人的な思いではなく、学年の仲間が賛同してくれる内容であるものことは大前提」と、このような指導のもと、生徒が書いてきたものだ。
いまでもそうだが、附属中は毎日帰りに合唱をすることが当たり前となっている。学校生活のあらゆる場面で合唱は日常化している。修学旅行でも山の生活でも、合唱は欠かさない。しかし、この当たり前の状況に、いつの時代も疑問を呈する子どもたちがいる。3年間苦闘するリーダーもいる。このことについて生徒は書いてきた。異例な答辞ではあったが、これがこの学年の子どもたちの総意であれば、ぜひ卒業式で語ってもらおう、このような決断が出たことを記憶している。
<平成4年度卒業式 答辞>
合唱をしなかったらクラスで問題など起こらない。自由がなければ、本当の自由について考える必要もない。しかし僕には、合唱のない短活も自由のない附中も考えられない。そこまで僕を引き付けるものは何だろう。 なぜ毎日の短活で合唱をするのか。歌いたくない人は歌わなくていいのか。そして、なぜ合唱なのか。疑問はつきません。また、はっきり答えることもできません。しかし、だれでも合唱に感動したことはあるでしょう。それは入学式の時の先輩の歌声であり、合唱祭で泣きながら歌う先輩の姿でした。僕は日々の合唱でこんな体験をしました。
「仲間がここにいるよ。いつも君を見てる。僕らは助け合って生きていこう、いつまでも」
マイバラードのこの詞を歌っていた僕は、自分の悩みの小ささ、友を信じられなかったちっぽけな自分に気づきました。自分の周りには一生懸命歌っている友がいる。みんなと声が一つになっている。そんな友との一体感が僕をつつみました。毎日、短活で合唱をすることにより、そうした友との一体感が生まれます。 では歌いたくない人は歌わなくていいのか。これは附中の自由をはき違えている一例ではないでしょうか。自分は歌が下手だから歌わない。それは明らかに違っています。附中の目指す合唱は上手な合唱ではなく、やはり友との一体感、感動を得るための合唱なのです。全員で歌うということがどんなに素晴らしいことか。一度は体験があると思います。また単に歌いたくないから歌わないというのはわがままにすぎません。これは歌いたい者の理論かもしれませんがクラスの多くが願っていることです。
ではなぜ合唱なのでしょうか。これまで附中を作ってきた多くの先輩方の合唱に対する熱い心が伝わってくるからでしょう。そして僕たちも合唱に心を熱くしました。歌うことで仲間との一体感を感じるだけでなく、そうした多くの先輩方と心を通うわせることができます。だから合唱なのです。合唱の伝統を受け継ぐとは、心を受け継ぐことなのです。
先輩方の数多くの歌声を聞き、熱い姿を見守ってきたこの大鴻館とも別れる日が来ます。そして新しい大鴻館に新しい歴史が刻まれることでしょう。社会は常に変化しています。附中をとりまく環境も変わっていくでしょう。しかし心だけは変わらないでほしい。伝統っとは何か僕にはよく分かりません。しかしこれだけは自信を持って言えます。大切なのは心です。多くの先輩方、そして僕たちが心を熱くした合唱。たとえ大地讃頌が合唱祭から消える日が来ようと合唱に対する熱い心だけは持ち続けてほしい。
代々の先輩方の不断の努力により創られ、真摯な態度によって受け継がれている自由も、今一度真剣に考える必要があると思います。僕たちは2年生の時、サブバック登校について全体で何度も話し合いました。生徒のみで話し合ったこともありました。賛否両論あり、一つの答えを出すことはできませんでした。しかしこうして話し合うことが大切なのです。このほかにも話し合うべき問題はたくさんあります。今のままでは附中は変わらない。無意味な時を過ごしている今の附中の状態から抜け出さなければいけないと思います。みんなが真剣に物事の真実を見つめ話し合えば結果はついてきます。
在校生のみなさん、あなたの行動が附中を変えます。附中は絶対変わります。しっかり自分を見つめ努力してください。 附中で過ごした3年間。数えきれないほどの思い出。素晴らしい友との出会い。合唱とともに歩んだ附中生活は深く心に刻み込まれます。 先生方、3年間、お世話になり、本当にありがとうございました。 最後になりましたが、皆様のご活躍と附中の益々の発展を祈り、心から感謝の意を込めて答辞と致します。 (平成5年3月6日 第45回卒業生総代)
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