...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年10月14日(火)

会社に入ってから何度か飲み会があった。
いつも上司の行きつけのスナックに連れて行かれたり
カラオケや居酒屋などで飲んで騒いだりしていた。
ある時、僕を可愛がってくれている会社の先輩が

「おい、オカマバーって行ってみたくないか?」

と言い出した。
今でこそニューハーフは一つのカタチとして認められつつあるが
当時としては、言葉は悪いが世間の好奇心の対象でしかなかった、
という印象が強かった気がする。
ゲイに対しても理解が無かったと言っても過言じゃなかった程だ。
そして、そう言って僕を誘った彼も
ちょっとした好奇心から「行ってみたくないか?」と言い出したのだ。
話の種に、とも彼は言った。

だけど僕は違った意味で強く好奇心を持った。
オカマバーという所は、単に女装をしたいだけの僕とは
全く種類が違うわけだが、女性の格好をした男性が大勢いる場所だ。
女装がしたくても出来ないで葛藤していた僕には
「何かがあるんじゃないか。何かが見つかるんじゃないか」
そう思ったのだ。
何かって何だと聞かれれば、何だろうと思う。
とにかく、僕は興味を引かれて彼の提案に賛成した。



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