...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年06月11日(水)

踵を返して僕はそいつに掴みかかった。
「どこにいるんだ」
いつも弱弱しい様子の僕の声が急に低いものに変わったのを聞いて
奴は驚いた様子で向こうを指差した。
「こ、校舎の裏だよ…」
僕に掴みかかられてちょっとでも怯んでしまった自分が恥ずかしかったのか
後ろから「オカマ野郎」と吐き捨てる声がした。

背中に変な汗をかきながら僕は校舎裏に走った。

どこだ・・・
どこだ瑤子・・・
あいつら!瑤子はまだ小学生だぞ!
僕をバカにしたいなら僕を攻撃すればいいじゃないか。
なにもあんな子供にまで手を出さなくてもいいじゃないか!

校舎の裏には体育道具の倉庫と部室がいくつかあった。
ぱっと周りを見渡したが人影は見えない。
「瑤子!」と叫ぶと、どこからか瑤子の声が聞こえた。
「兄ちゃん!ここ!」
声がする方を探って倉庫に近寄った。
中から「兄ちゃん!兄ちゃん!」と叫ぶようこの声
それに「うるせぇな」という声が続いて引き戸が開いた。

中にはマットに巻かれた瑤子と数人の男たち。
ドアを開けたのは木戸だった。
「藤沢さぁ〜最近構ってやってんのに無視するだろぉ〜?
 だからさ、妹連れて来たら藤沢来てくれると思って」
木戸は纏わり付く様な視線で僕の周りをうろついた。


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