...ねね

 

 全てフィクションです

【DRESS】 - 2003年02月17日(月)

僕が中学3年の頃には
妹の瑤子と由希と一緒になってファッションショーごっこ
のような遊びをするようになった。

実母と暮らしながら可愛らしい洋服を着て過ごした日々。
僕にはそれを忘れる事が出来なかった。
決して実母との思い出に浸るためなどではない。
僕自身がドレスに魅せられていたのだ。
幸いな事に、僕はあまり背が伸びなかった。
それどころか度々女の子に間違われるほどの容姿。
あまり自慢できる事ではないが、
女の子の洋服を着るにはこの上ない事だ。

それに比べて瑤子は、その頃には小学生ながら
僕と身長はほとんど変わらなく、彼女の服は僕にぴったりだった。

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僕は瑤子のクローゼットに手をかけ、
それを胸にあてては鏡を覗くようになっていた。
彼女の居ない時間はパラダイスだった。
家族に隠れ、こっそりと選んだ服を一枚取り出し、胸にあてる。
この服が着られたら。はぁ。
勝手に人の服をこんな風に扱っておきながらでなんだけど
これを勝手に着てしまうのは、さすがに罪悪感があった。
だから、体にあてるだけ。
見るだけ。布に触るだけ。
いつもドキドキした。

ある日いつもの様に瑤子の居ない時間クローゼットを開けていた。
淡いグリーンのワンピース。
ハンガーを外して鏡の前へ。

ドアが開く音がした。

がちゃ

心臓が縮み上がる思いがして振り返る事は出来なかった。

「兄ちゃん、なにしてんの」

よ…瑤子だ…


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