CYMA’S MURMUR

2005年04月29日(金)   尊厳




列車脱線事故のニュースを見た。

事故で亡くなった方のお嬢さんが、こう言った。

  遺体はめちゃめちゃな状態なんです。
  せめて目くらい閉じてくださいと言ったら、
  それは葬儀屋の仕事です、って言うんですJRの人は!

あぁ、なんてこと・・・


祖母のことを思い出した。

事故後丸1日経って土砂の中から発見された祖母は、
頭の皮もずるむけになっていたという。
遺体は役場に運び込まれ、ある程度清拭されたものの、
まだ泥がこびりついている状態だったそうだ。

母は泣きながら役場の役人にかけあった。
その勢いに、叔父も大叔父も何も言えなかったらしい。
役人は、渋々という感じで近隣の病院に連絡をとり、
その病院が承諾してくれたため、祖母は病院に移動した。

おそらくその病院の中には、祖母を知っている人もいたのだろう。
時間をかけてとても丁寧に湯灌してくれ、薄化粧までしてもらったそうだ。
私がかけつけたとき、祖母の顔はきれいだった。
もちろん、打撲の大きな痣もあったけど、それでも祖母らしい顔だった。

片手の指は失われていたという。
指が失われた手の上に、損傷のない手を重ね、
とてもキレイにセッティングしてくれた。

だらしないこととか、みっともないことをとても嫌う祖母だったから、
本当にキレイにしてもらえてよかったなと思ったものだ。



葬儀屋の仕事?
何その言い方!

JRはこの事態を、一体なんだと思っているのだろう?



一方、ニュースで被害者の方と遺族の方の情報が取り上げられるたびに、
被害者の尊厳とプライバシーはどうなっているのかと思う。

事故にあったことも、亡くなったことも、
テレビで放送なんてしてもらいたくない人はいくらでもいると思う。

加害者は保護されて、被害者の尊厳は無視される。
そういうのも、ひどいと思う。
考え直す必要が、あると思う。

今回は犠牲者の名前を匿名で放送しているケースを何度か見かけた。
そうあるべきであると思う。
祖母のときは、報道していいかどうかなんて、誰も聞いてくれなかったけれども。







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