大雨の1日が明けて、抜けるような青空が見えた。
暖かさのある穏やかな風を感じながら、春だなあと思う。
そして思い出してしまう。
元彼に告白された2年前の雛祭りの日のことを。
鎌倉で1日遊んで、帰りに告白された。
「○○さんって、彼女いましたよね?」 私はそう答えた。
けれどまあ、その日から付き合いだした。 彼の服装も、自分の服装も、はっきりと覚えている。 彼が私の耳たぶに触れたことも。
終電で家に帰ったあと、私の携帯の電池が切れるまで、 朝5時までずーっと電話で話してたっけ。
そんなことを思い出しても、 それほど心騒がない。
最近ずっと元彼のことを思い出すたび、 傷つかない自分を発見して少し寂しくなったりしている。
でもこれは健全なことなのだ。 自然の摂理・・・忘却。
それでも彼にまつわるヨシナシゴトを、 私は避けていたりする。
鎌倉、という文字も見たくないし、 彼が好きだったテレビ番組はすぐにチャンネルを変える。 彼の出身地の話も聞きたくないし、 彼と一緒に見た映画のことも思い出したくない。
でももうすぐ、それらのことも、きっときれいさっぱりと。 忘却のかなたへ。記憶の底へ。
そして本当の春が来る。
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