CYMA’S MURMUR

2002年06月16日(日)   記憶の湖

彼のことがどんどん遠くなる。
これが私の望んだこと?

忘れていくのは防御反応かもしれないし、
私が薄情なだけかもしれない。

薄情でもかまわない。
あの辛さから抜け出せるなら。


彼との間に起こった全ての出来事
〜良いことも悪いことも〜
それら全てに現実感がない。

忘れたわけではない。
でも心に触れるわけではない。
ただの事実として、それは私の中に眠っている。

全然思い出さないわけじゃない。
二人で歩いた道とか、一緒に見た光景とか、
そういう景色がフラッシュバックのように眼前に現れる。
何度も、何度も。

驚いた。
今”二人で歩いた道とか、一緒に見た光景とか”と書いた瞬間、涙が出てきた。

それはともかく。

私が思い出すのは、彼とのことばかりではない。

ここ数日、前に付き合ってた人とデートで行った先の風景とか、
10年前に友人と旅したドイツの田舎町の眺めとか、
そういうものが次々と頭をよぎっていく。

それらは不思議と私の心を刺激しない。
私に何も与えない。
ただ記憶の湖が波立って、
底の方から新旧とりまぜた映像が浮かんでは消えていく。

全てにリアリティが希薄になってきている。

人は「思い出に生かされる」とも言えるかもしれないけれど、
今私にとって過去というものは何の意味も持たない。

確かに連綿と今の私につながってはいるけれど、
それは単に過程であって、
今の私にとって何ら価値のあるものでもない。

寂しいけれど。

今を生きなきゃ。




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