やりたいことがある。 ずっと思ってた。 農業はそのためのものだったのだけど。 生活の中で無頓着に流されていく自分。
初心はどこかへ。 ユーキさまとの契約は守れない。
「大丈夫ですよ」 「大丈夫って・・・」 「建て替えればいいだけじゃないですか」
あっさり。
本当に? ここにいていいの?
「大農場には貯金が足りませんけど、小屋ぐらいなら」
いいの? だってユーキさま、私と違って農業に向いてるのに。 それに元々の同居の条件の中に、農場に住むことは含まれていたはず。
「小屋に建て替えちゃったら、農業は続けられないんですよ」 「大丈夫。僕だって考えてることはあるんですから」 「考えてるって、何をですか!」 「僕にとって楽しい人生を送れる、最善の道を模索することですよ。マーナさんのためじゃありません」 「じゃ、」 「ここにいて、家事を手伝ってくれますよね」
どこにも行かずに、ここにいて、いいの?
「はい。このまま同居を続けさせていただきます」
|