2015年06月23日(火) |
安保法制反対の意見書二件に、反対討論@区議会 |
次世代の党は、ただいま上程されました議員提出第8号議案、及び第9号議案に、絶対反対の立場から討論をいたします。
まず、第8号議案「安全保障法制の慎重審議を求める意見書」でありますが、これは我が国の安全保障体制についての党内意見すら集約できていない民主党所属の5名の区議会議員から提出されたものであります。
さる5月28日に開催された、衆議院平和安全法制特別委員会において民主党保守派の長島昭久元防衛副大臣は、安倍総理の「国家安全保障の要諦は紛争を未然に防ぐことだ」との基本方針に対し「おおむね首肯したい」と賛同され、法案には理解を示される発言を繰り返しされました。そして、最後は「出来る限り修正を求めたい。政府は広い視野で取り組んでもらいたい」とエールまで送られたのです。さすが、奈須りえ議員のお友達であり、独立国家の代議士として見識ある発言でありました。
反面、その後、同じ民主党の辻元清美政調会長代理が質問にたち「政府が戦争に踏み切る基準の変更について議論しているのか」と迫り、いかにも政府が「戦争をする国づくり」を進めているような視点で挑発をされました。さらに法案に対しても「日本がテロに狙われることにつながりかねない」と否定的な発言に終始をされたのであります。はたして、このお二人は政策を同じとする政党に所属する代議士なのでありましょうか。
防衛は最大の福祉である、との言葉があります。国民の生命財産を守れなければ、福祉も教育政策もなんの意味を成さないからであります。その、国家にとって最重要課題である安全保障政策につき、党内意見すらまとめられない政党が、一時であれ我が国の政権を担っていたことは、奇跡と驚愕である、と申し上げておきましょう。
このような政党から「国会での審議を慎重かつ丁寧に」などという意見書を提出されても、到底賛同など出来ないのであります。
政府与党におかれましては、今回の平和安全法制の整備は、抑止力をさらに高め、戦争が起きないようにするものだ、ということを我が次世代の党以外の野党に「わかり易く丁寧に」ご説明されるよう望むものであります。
次に、議員提出第9号「安全保障関連法案の撤回・廃案を求める意見書(案)」につき、同様に反対の立場から討論をいたします。
そもそも、集団的自衛権は国際法上認められた独立国固有の権利であり、日本も当然に保有しているのであります。そして、憲法がその行使を禁じていない以上、行使しうることは明らかなのであります。
週刊文春6月25日号に掲載された日本大学百地章教授の言葉によれば、憲法学会という世界は、東京大学法学部を頂点とする護憲派のヒエラルキーが絶対的で、改憲派を名乗ることはある意味タブーなのだそうです。そして、百地教授は清水の舞台から飛び降りる覚悟で憲法改憲論者として学者の道を歩み始めたそうです。しかし、恩師にもその想いを明かせなかったといわれます。それは、ひとたび改憲論者とレッテルを貼られれば、学会発表や専門雑誌での論文発表などからお呼びがかからなくなるそうです。
したがって、いささか人選がマヌケではありましたが、自民党推薦の憲法学者が「違憲」と述べた事は、学界的には想定内の出来事でありましょう。国際社会の常識からかけ離れた東京大学憲法学と、それに従わなければ学会では生き残れないという憲法学者の世界において、彼らの理論が正しいとは言えないのであります。
為政者、すなわち政府は、学者ではありません。学者がなんと言おうが、国民の生命財産を守るために必要な政策を立案する使命を帯びています。
我が国は、大東亜戦争に負けて以来、独立国として当然の行為である国防すら「悪いこと」だと教えられてきてしまいました。憲法9条があるから日本は平和なのだ、という誤った教育も受けてきました。憲法9条があるから平和だったと叫んでいる諸君に問いたいのであります。憲法9条で拉致被害者を助けて欲しい、憲法9条で尖閣諸島に侵入する中国船を追い出せるのか。年間500回以上行われている領空侵犯に対する措置、所謂スクランブル機に憲法9条を貼っていったら領空侵犯は起きないのか。
あなたたちの言い分は、蒲田の街が安全なのは、刑法と警察官職務執行法があるからだ、蒲田の街に火災が少ないのは消防法があるからだ、と言っているに等しいのであります。 蒲田の街が安全なのは、警視庁蒲田警察署の警察官が日夜パトロールをして下さっているからであり、蒲田の街に火災が少ないのは、東京消防庁蒲田消防署の消防官の皆さんや蒲田消防団第六分団員である民主党山崎勝広議員が火災予防に努めてくださっているからなのです。同様に、日本が平和だったのは、日米安全保障条約を基軸に、陸海空24万人の自衛官が365日24時間我が国の領空、領海、領土を守っているからであります。
意見書(案)には、「民主主義上許されない」、「国会の多数議席を頼みに国民 の意思を無視した法案成立は…」等の勇ましい言葉がならびます。民主主義は、最後は多数決であります。先の総選挙において、日本共産党が躍進したものの、自民党が圧勝したことは、是とは思いませんが、まさに国民の意思の表れでありましょう。したがって、意見書の趣旨にも全く賛同できないのであります。
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法 及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
すべての自衛官が任官の際に行う宣誓文であります。自衛官は命をかけて国民の負託に応えるのです。親ばかでありますが、私の長男は現役の陸上自衛官であります。ハイチ大地震一次隊、ジプチ海賊退治、南スーダンPKO先遣隊など、海外派遣を経験してまいりました。彼の現地での写真を見ると、諸外国の軍人と自衛官が共同で作業をしている姿が映っておりました。
他国の軍人は自衛官を守ってくれますが、自衛官は他国の軍人を守れない、こんなおかしな法制度の中、自衛官は海外で日本の名誉と国際貢献のため任務を遂行しているのです。
南スーダンでは宿営地の外で、年中射撃音がしていたそうです。自衛官も一人あたり180発の実弾を携行していきましたが、「撃ってはいけない」と厳命されていたそうであります。
今回の安全保障法制の議論のなかで、自衛隊の行動基準を現行のポジテイブリスト方式、つまり「これとこれはやっていい」という規定から、ネガテイブリスト方式、「これとこれはやってはいけないが、それ以外は現場で臨機応変に」という、国際基準に変更することが望まれるのです。 昨日、長男からメールがまいりました。
私たち現場の自衛官は最高指揮官が決めたこと事は、どんなことでも遂行するよ。そのために宣誓して入隊してるからね。
日本共産党の機関紙「赤旗」には、退職自衛官の「安保法制反対」の声を掲載されていますが、この長男のメールの決意が、ほとんどの自衛官の気概であります。
多くの区民、国民の皆様が「戦争法案」という間違った宣伝に惑わされることなく、戦後70周年の節目の年に、日本をまともな国にしよう、という安倍総理の決意に賛同されるよう、強く願い議員提出第8号、第9号に対する反対討論といたします。
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