2014年07月18日(金) |
「手話を言語に!」国宛の意見書採択@大田区議会 |
区議会議員の立場を離れて、すでに1年半が過ぎた。たまに区役所や議会に出かけると懐かしい気持ちすらすのは、いささか不思議だ。13年間「なんでも賛成議会」を「議論する議会」に変えようと頑張ったが、まだまだ「質問する議会」に終始しえいるのは残念である。
さて、そんな大田区議会だが、先日いい意見書を採択した。これは、手話言語法の制定を国に強く訴えるもので、実にタイムリーなものだ。たぶん、大田区聴覚障がい者協会の要請を受けたものだろうが、所管委員会で区議で唯一手話が堪能は、秋成靖議員がいたこともよかったと思う。
秋成議員は、大田区職員在籍中に手話を学び初学者の私など、足元にも及ばない。以下、意見書全文である。
手話とは、日本語を音声ではなく手や指、体などの動きや顔の表情を使う独自の語彙や文法体系をもつ言語である。手話を使う聴覚障がい者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切にされてきた。しかしながら、ろう学校では手話は禁止され、社会では手話が広く普及されてこなかった歴史がある。 2006(平成18)年12月に採択された国連の障害者権利条約には、「手話は言語」であることが明記されている。 国は障害者権利条約の批准に向けた国内法の整備を進め、2011(平成23)年8月に改正された「障害者基本法(昭和45年法律第84号)」では、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と定められた。 また、同法第22条では、国・地方公共団体に対して情報の利用におけるバリアフリー化等を義務付けている。 これを受け大田区議会は、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広め、聞こえない子どもが手話を身につけ、手話で学び、自由に手話が使え、さらには手話を言語として普及、研究することのできる環境整備を目的とした「手話言語法(仮称)」の制定を強く求める。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成26年6月20日 衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 厚生労働大臣 宛 大田区議会議長
これは地方自治法に基づき、国に提出できる意見書なのだが、問題はこの扱いだ。これらの意見書に対し、国(所管庁)から回答は絶対に来ない。また、この意見書がどのように処理されるのか、または、されたのかすら判らない。判るのは、確かに受け取ったという事実だけである。
中央集権型国家であるわが国において、上級庁(国)に対し下級庁(地方自治体)が意見具申するのなど、もっての他と思われているのかもしれない。
標識などを三ケ国語表記にしたりするのも結構だが、日本に暮らしている聴覚障害の方々が情報難民にならないよう、早急に「手話は言語である」とする法律を制定すべきである。
|