いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年08月30日(火) 都市・環境委員会行政視察@葛巻町

 視察二日目の行程は以下のとおりで、初日の「ゆったり」した日程に比べると「いい感じ」にビッシリである。

08:00 ホテルロビー集合
08:05 ホテル出発(マイクロバス)
09:30 くずまき高原牧場到着
09:35 葛巻町概要説明、ゼロエネルギー住宅視察、木質バイオマスガ      ス化発電設備視察、畜ふんバイオマスシステム視察
11:35 牧場レストランで昼食
12:30 移動
13:10 くずまき風力発電所視察
13:20 移動
14:00 葛巻中学校太陽光発電視察
14:10 移動
14:30 ペレットボイラー、ストーブ視察
15:00 移動
16:30 ホテル着(八戸市)

 葛巻町は震災後、町民利用の電力をすべて自然エネルギーでまかなっているとして全国的に有名になった自治体である。人口7417人、牛が11000頭、人間より牛の数が多い、酪農の町でもある。

 葛巻のキャッチフレーズは「北緯40度ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」だそうだ。

 木質バイオマスガス化発電は、過去に国と民間企業が実証実験で使ったものを置いていったもので、カラマツのチップを燻製にして発電するという代物だが、チップの価格、ランイングコストと発電量のバランスがとれず、いまは「展示物」としか利用されていない。


 畜ふんバイオマスシステムは、畜産の町だけあって最も面白く興味を持った視察だった。これは、酪農家から出た家畜の糞尿をメタンにして臭気を減少させ、そのガスで発電をし、水分は液肥という肥料として還元するものだ。

 設備総額が約2億円ということで、なかなか酪農家個人では導入が難しそうだが、拠点毎に設置するなどすれば、よい仕組みだと思う。ただ、現在牛さんたちは秋まで「放牧中」で、糞は山々で勝手にされているので、ここには来ない。

 葛巻町では、これ以外にも様々な自然エネルギーの取り組みをうかがったが、それらの工夫のなかで感じるのは、国のくだらない中央集権的関与である。地方分権など絵空事とも思えるのだ。


 たとえば、この町の風力発電量は年間5600万kwh/yで、一般家庭16600世帯分の電力消費量にあたる。葛巻町の電力消費量は年間3500万kwh/yなので、町民はさぞかし恩恵を受けていると思ったが違うのだ。

 発電された電力は、すべて東北電力へ売却され、町民は東北電力から普通に電気を買っているのだ。驚きは、震災後3日間東北電力が停電をしたそうだが、地元の風力発電は「元気いっぱい」発電をしていた。が、町民の家々は停電。

 風力発電所から町内に送電線を町独自で設置すれば各戸への送電ができるのだそうだが、山間の送電線設置は1キロあたり1億円もかかるため、町ではできないのだという。東北電力の送電線を借りれば、との私の質問には「貸してくれないのです」と、簡単に返事があった。なにかおかしくないだろうか。


 さて、この町では様々なエネルギーに対する対策をとっていることは、よくわかったが、私にはもっと興味をひき素晴らしいと思えたことがあった。それは、議会改革への取り組みだ。視察に出向いた自治体では、恒例として自らの自治体の「議会概要」を配布してくれる。そこには、東北の議員10名の小さな議会の真摯な議会改革が示されていた。大田区議会でできていない内容を列挙する。()内は大田区の現状。

一般質問:件名のみ通告し時間は1時間。一問一答方式(全文渡すのが恒例化、時間は議員一人おおむね20分。全部質問して一括答弁)

質問者の席:議員(質問者)が理事者(役人)の方を向いて質問する対面方式(国会と同じで、議員は理事者に尻を向け、傍聴席に向かって質問)

請願・陳情:極力会期内(年4回)に審査終了(極力年度内に審査終了と言うも、4年間先送りの陳情多数)

傍聴:傍聴を呼び掛けるチラシを会期ごとに全世帯に配布(区報に小さく掲載)

町内視察:前年度、今年度の工事個所、施設を全議員で視察(必要な場合、所管委員会で視察)

海外研修・視察:全額議員個人負担で実施。昨年度は中国班とオーストラリア班に別れて実施(全額税金で負担。視察はもっぱらヨーローッパ)

地域懇談会:全自治会へ議員が出向いて議会報告会を開催し、その模様は議会広報に掲載する。(議員の裁量に任せれており、制度がない)

政務調査費:月1万円だが、平成15年より辞退(月23万円)

審議会・委員会:町の審議会や委員会の委員への議員就任を辞退(交渉会派の議員により各審議会等の委員に就任。議員報酬以外に会議参加1回1万円超の報酬あり)

 いずれの取り組みも、全国の自治体議会で推進が始まったものだが、議会改革が日本一遅れていると自負(私が)する大田区議会では、この任期中(4年)で、葛巻町議会の上述した改革どれ一つ実現できないだろう。情けない!!!


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