いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年07月08日(金) 議員特別セミナー二日目@市町村アカデミー

 昨日に続いて、セミナー二日目である。今日の第一講は山梨学院大学教授の江藤俊昭氏の「地方議員の役割と改革の行方」である。

 とてもフレンドリーな感じの教授で、講師席の右斜め45度という「心理学的」に「最高の友好関係」のポジションに座ったことも幸いして、ずいぶんとこちらに向かって話しかけ、こちらも頷いたり、笑ったりと、一体となる講義を拝聴できた。


 氏の一言一言は、いつも私が大田区議会で「苦言を呈している」ことばかりで、区議会で「変人扱い」の私も、今日ばかりは288名の全国市町村議員の仲間とともに、「我が意を得たり」とばかり、ホットした講義でもあった。講義のポイントは以下のようなものだ。

1.議会にはとんでもない権限がある。議員も執行機関(首長や役所)もそれを理解していない。人事の同意、契約、条例制定など執行権限にかかわること、自治体の意思決定機関が議会で、施行機関は「議決に基づく事務を誠実に管理し執行する義務を負う。(地方自治法第138条の2から抜粋)」のだ。

2.国政は議員内閣制であり多数派(与党)が内閣を守る。しかし、地方自治は二元代表制なので、与党、野党という考え方はない。「俺は与党だから知事を守らなければ」等という議員がいるが、であれば県の職員になれ、と言いたい。地方議会は監視機能を強化しなければならない。

3.本会議でも委員会でも、すべて「質問」といいうのは異様ではないか。議論をしない議会は議会ではない。会派がすべて「悪」とは言わないが、議会で議員同士議論を始めた会津若松市では会派が融解をはじめた。

4.本会議で前にすべての理事者が座っているのをみておかしいと思わないか。議会を「質問の場」と想定するから全員が出席している。理事者が一番怖いのは、議員が議員同士で議論をはじめることだ。役所の追認機関になってはだめだ。住民は「追認なら自分でも出来る」と思ってします。

 いやいや、まったくそのとおりである。では、先生がご指摘のような議会を、又は議員の意識を変えるためにはどうしたらいいいのか?ぜひ質問をしたかったのだが、時間切れとなってしまった。残念!!

 続く講義はパネルデスカッションだ。テーマは「地域で取り組む協同のまちづくり」と題して、早稲田大学社会科学総合学術院教授の卯月盛夫先生がコーデイネーターを勤められた。


 実は、今回のセミナーに参加した主たる目的は「卯月先生の追っかけ」なのだ。数年前、放送大学の面接授業で、卯月先生の「まちづくり」の講義を受けファンになってしまったのだ。世田谷区の都市デザイン室長から大学教授に転じられた方で、放送大学で感銘を受けた授業3本のうちのお一人だ。

 パネリストは、香川県で子育てNPO「わははネット」を運営している元気なお母さん、中橋恵美子氏、滋賀県野州市で「税金滞納からの生活再建プロジェクト」を推進している生水浩美氏である。いや〜お二人とも元気、元気!居並ぶ男性議員も圧倒するパワーで、台風のように発表された。

 特に野州市の取り組みは素晴らしかった。税金の滞納、給食費の滞納(市が管理するのだ!)、国民健康保険の滞納などの情報があがると、市民相談室で一元管理をして、そのほかの借金などがないかを本人に確認。

 関係各部局が一同に会し、滞納解消と借金返済のついて協議をし、弁護士、司法書士に取り次ぐそうだ。その結果、平成21年度から22年度の2年間で、取り戻した過払い利息1億1900万円、払わなくてもいいとなった借金1億5千万円、税金滞納充当1100万円という実績をあげた。

 生水氏は、人口4万人でこの数字です。人口が増えれば、もっと滞納充当額が増えるだろう、と話す。

 最後は、卯月先生が、新宿区の「きたなくて不評」だった自動公園を住民参加で蘇らせた事例を発表された。最初のワークショップには10名しか参加しなかった。この10名に「街角アンケート」をもって10名に会ってもらった。そして、公園で子供たちを巻き込んだ「祭り」をすると200名が参加してくれた。

 さらに、子供のワークショップなどを続け、ついに公園は蘇った。先生はこの事例をもとに次のように話された。

会議室の中では本当の声は聞けない。大切なことは時間をかけることだ。

 たった2日間だったが、閉塞感漂う大田区議会から、たまに、意識の高い地方議員の仲間たちと交わるとホッとする。よい時間を共有できた。最後に、卯月先生の言葉。

「危機感の共有」から生まれる「新たな創造」

 いま、地方議会は「不要論」をはじめ、定員、報酬削減など、その存在が話題になることが多い。このような状況をそれぞれの地方議員が「危機感」をもて受け止め、「新たな地方議会」を模索しなければ、日本航空や山一證券と同じ路を地方議会も歩むことになるだろう。


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