いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年06月20日(月) 自民・公明は採択に反対!放射能測定の陳情

 先週以来問題になっていた「放射能測定」の陳情が本日の本会議に上程された。予想通り、自民・公明の所謂与党が反対し、それ以外の会派が賛成。不採択となった。
 
 自民・公明の反対討論の趣旨は「自分たちは、与党なので責任がある。だからなんでも賛成できないのだ」というもので、嗚呼、さすがだね、という感じである。公明党は、さる統一地方選挙では「潮」誌上などにおいて、地方議会改革を訴えていたし、今回も大田区議会の改革案を提出された。
 
 それは大変結構なことなのだが、地方議会の問題点は、実は現行の制度ではなく、議会や議員のあり方であることを理解して頂きたい。また、地方議会には「与党」というものは存在しない、という二元代表制の基本も知って欲しい。以下、本件陳情を採択すべし、という私の賛成討論である。

たちあがれ日本は、ただいま上程されました陳情23第43号、23第62号、23第65号、23第70号の4件を採択するとする所管、都市・環境委員長の報告のとおり、本会議においても採択すべきとの立場から討論いたします。
 本件陳情4件は、若干内容に違いはあるものの、「放射能が心配だから大田区でなるべく広範囲で測定をして欲しい」という、区民、とりわけお子様をお持ちの保護者の強い不安の結果提出されたものであります。
 大田区議会においては、議案、請願、陳情などは本会議において上程の後、専門的に審議、審査する必要から所管委員会に付託することが定められており、いままでもそのようにされてまいりました。そして、当然ながら所管委員会の審査経過を委員長が本会議で報告後、所管委員会の決定通りの採否が本会議においても追認されていたのです。
 ところが、さきの討論からもわかるように、本陳情につき採択すべしとした所管都市・環境委員会委員長の報告に「反対」、すなわち採択すべきではない、との結論を出された会派があるのです。自由民主党大田区民連合16名、大田区議会公明党12名の議員の方々であります。
 今回は、委員会において、所謂与党と言われる会派と、是々非々で賛否を考える議員の数が拮抗していた結果、与党民主党の委員の翻意により賛成者多数となったものであります。
 しかし、どのような経過であれ、所管委員会に付託し、その委員会において結論を得たものは、例え自らの想いと違っていたとしてもその結論を尊重すべきであります。なぜなら、今回反対する自民党、公明党二つの会派からは5名の委員が、都市・環境委員会に参加しているのですから。自らの都合により数の論理を使ったり、使わなかったり、というのは問題です。ダブルスタンダード、トリプルスタンダードなど、その都度、基準や意思決定の尺度を変えるのは、大田区役所のお役人の得意技でありますが、住民の代弁者であるべき議会がそれを真似てはいけません。
 今回の陳情4件のうち、2件は、所謂与党会派や私が思想的に受け入れられない政党を支持する団体からのものと思われます。平時であれば「政治的な思惑」から反対することもあるでしょう。しかし、いま我が国は未曽有の国難を迎えている非常時なのです。思想や政党の想いを超え、一致団結この国を復興すべき時なのです。国政では、福島原発について「誰が悪い」との責任論が華盛りであります。原発に反対する政党の諸君は「だから言っただろう」とばかり、得意げでもあります。
 民主党政権、とりわけ菅直人というどうしようもない総理大臣には、多くの国民が失望し、あきれています。しかし、内閣不信任案が上程された時、私と共に気仙沼市において被災地支援にあたっていた日本中から集った自治体職員、公立病院医療職、自衛官、被災された方々には、「虚しさ」が募りました。何を東京で猿山の親分争いをしているのだ、「勝手にやっていろ!」と。
 誰が総理になろうが、どこの政党が政権を取ろうが、被災地支援をしている方々は必死に頑張るでしょう。被災された方々の生活も大きく変わることはないでしょう。
 いま、政治がすべきは内輪もめではなく、永田町の論理ではなく「現地現場主義」を貫くことであります。国政においては、兎に角、被災された方々の一刻も早い生活再建と、福島第一原発の安全な廃炉を目指さなければいけません。復興や原子力を政局にしてはならないのです。
 同様に、基礎的自治体である我が大田区のミッションは、区民の不安を払しょくする努力をすべき事であります。平時であれば「やりすぎ」ということでも、非常時の今では必要なことです。やりすぎる位、できることはすべてやり、69万区民の不安をなくすことこそ大田区が今すべき使命であり、それを後押しするのが我々区民から信託を受けた議員の、そして議会の責務であります。私たち、区議会議員は、議員になるまでは会社員や公務員だったり、商店主や中小企業の経営者という「フツーの区民」でした。国政を真似て、政党の勢力争いをしたり、所謂与党を気取るのは似合いません。
 我々議員は原子力のプロではありません。行政のプロでもありません。しかし、我々議員は、区民の声を聞くプロであります。区民が「不安」を訴えている今こそ、われわれの出番です。今回、陳情の採択までは頑なに「5ケ所の放射能測定で充分」と強弁していた大田区役所が、先週金曜日の閉庁後に、突如「全小中学校、保育園、公園の放射能測定をする」と発表したことは驚きでした。あの都市・環境委員会での「必死のやらない言い訳」はなんだったのでしょうか。「良くも悪くも」上が決めたことに従わざるを得ない、公務員の悲しさには哀れみすら覚えてしまいます。
 大田区管理職のみなさんは、区役所に入庁以来20年以上「上の指示に従い」「上を向いて仕事をする」訓練をされてこられました。大田区議会も長い間、所謂与党会派が取り仕切り「お役人がやりたくない陳情、請願」は不採択とし、「お役人がやりそうな陳情、請願」や、町会長や各種団体から出された陳情、請願は採択をすると思われる歴史が繰り返されてきました。
 今回は、「お役人が否定していた陳情趣旨」を、所謂与党会派である自民党、公明党が「ただ、反対」をする訳にはいかない、として、頑なに「放射能測定範囲の拡大」を拒んでいた大田区、特に教育委員を説得しての成果であろうと自民・公明党に心より感謝申し上げます。
 陳情の採否とは関係なく、陳情の趣旨が実現できたことは、まさに、名もない多くの「区民力」の成果であったと思い、その運動に敬意を表明するものであります。
 そこで、所謂与党会派である、自民党、公明党の議員各位にお願いであります。お役人は、みなさんの説得で「考え方を急変」したのです。この際、細かいことは抜きにして、本陳情4件を一括して、所管委員長報告の通り「採択」しようではありませんか。
 今年の4月に区議会議員選挙が行われました。新たな議員をお迎えして、どうか、大田区議会が大田区管理職が「区長」や「上を見る」という意思決定プロセスから脱却し「区民のほうを向く」大きな転換期となる後押しをしようではありませんか。区民力という、区役所やお役人に対する「大きな津波」の防波堤に区議会がなってはいけません。
 本件陳情に「反対」をされるであろう、自民党16名、公明党12名の区議会議員のみなさんに、心から翻意をお訴えして、所管委員会で正しい「議事進行の動議」を連発した私、犬伏秀一の賛成討論といたします。


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