いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2011年06月03日(金) 気仙沼支援四日目、感動したお話2件

 気仙沼の医療救護班に入って4日目である。もう気仙沼市内はカーナビがなくてもなんとかなるようになった。今日もいつもと同じように、朝7時に宿舎を出発して本部のある気仙沼市の施設に向かう。

 午前中は、避難所になっている中学校体育館で巡回診療所開設のために医療チームの送迎を行った。体育館前に駐車した車に乗って待機していると、バックミラーに迷彩服の自衛官が見えた。しゃがみ込んで何かをしている。よく見ると半長靴(はんちょうか)と呼ばれる迷彩服では必ず履く靴を磨いている。

 被災地に入れば泥だらけになる靴だ。磨いても磨いても泥になるだろう。しかし、少しの暇をみつけて「普段どおり」に靴を磨く姿に、いたく感動してしまった。もっと言えば自衛官の「誇り」すら感じたのだ。



 磨いている写真は取り損ねたが、靴の写真をご本人の了解を得て撮影した。ピカピカだった。ちなみに、この避難所は、被災者の皆さんは体育館で、自衛官はテント暮らしである。



 避難所での診療が終わり、医師、看護師らと共に昼食に向かった、と言ってもアテがある訳ではない。気仙沼市内の津波被害のなかった繁華街でウロウロ昼食場所を探した。なかなかないのだが、やっと見つけた一軒。たたずまいはいささか高そうだ。私が偵察班として暖簾をくぐって店の中へ。

旬鮮処「菊せん」気仙沼市中前1-2-7

「すみません!ランチの価格っていくら位ですか?貧乏人に払えないといけないので‥」すると、カウンターに座っていた常連さんが「大丈夫だ!俺でも払えるから」と笑顔で教えてくれた。ちなみに、メインの料理を選び380円、それにご飯セット380円をつける。合計760円である。安心して店内に入った。

 サバの塩焼き定食を頼んだ。いやおいしいし付け合せもあり大満足で食べていると、店主らしい若い板前さんが「東京から来てくれたんですね。サービスです。」と、なんと刺身の盛り合わせを出してくれた。さらに、各ネタはすべて人数分盛ってあるという気配り。食後にはコーヒーのおまけまで。涙が出てしまった。ありがたいご好意だ。



 復興したら必ずまた来ます、と言い残して店を後にした。素晴らしい昼食だった。午後は、医療チームと東京都の職員を乗せて県立高田病院の仮設診療所のある陸前高田市コミュニテイセンターにむかう。通常の経路である国道が橋の陥落で使用出来ず、狭い山道を通っての移動である。


陸前高田駅のホームから駅前広場を見る(辛うじて線路が見える)

 その後、陸前高田市立第一中学校にまわる。陸前高田の避難所では盗難被害が多発したため、入り口には神奈川県警の制服警察官が立哨警備にあたっていた。被災地では日本中の警察車両、日本中の自治体の車やら防災服に出会う。わが大田区はどこだ。

 本部に戻り、夕方のミーテイングをすませ、気仙沼市災害対策本部会議に向かう。会議会場の前のホールには「尋ね人」の用紙が処狭しと張り出されている。一枚一枚に家族や友人の安否を気遣う想いが溢れていて、読むほどに涙が止まらない。



 災害対策会議が終わり宿舎に到着したのは午後9時。本日も14時間働いた。走行距離200キロ。明日も頑張るぞ!
 


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