2011年03月23日(水) |
被災地を想い、区長の4年毎の退職金2314万円はやめろ! |
さる3月18日、延期された区議会最終日、区長らの超高額な退職手当を半減させようとの我々6名の議員の条例改正案を自民、公明、民主の所謂与党議員が「実質的廃案(継続審査)」としたことに反対の討論を行った。被災地の方々の苦難を想う時、自分たちだけ「いい思い」をするような高額退職金は、返上または全額被災地に寄付しろ!!!!以下、討論である。なお、なぜか、意味なくこの日は「防災服着用」との指示が出た。これこそ議会のパフオーマンスだろうと思う。
議員提出第一号議案、大田区長等の退職手当に関する条例及び大田区監査委員の給与に関する条例の一部を改正する条例につき「継続審査」とした総務財政委員長報告に反対の立場から、提出者である永井敬臣議員、湯本良太郎議員、荒木秀樹議員、奈須利江議員、西村健志郎議員を代表して私、犬伏秀一が討論をいたします。
先週金曜日の本会議開催中に、この議場で私たちはかって経験したことのない大きな揺れのなか、筆舌に尽くしがたい恐怖を体験いたしました。その後の大田区執行部をはじめとする、各級大田区職員の不眠不休の震災対策活動には心より敬意と感謝を捧げるものであります。また、震災によりなくなられた方々のご冥福をお祈りし、いまだ避難所生活を余儀なくされている多くの方々の生活再建が早急に図られますよう願ってやみません。
さて、本条例改正案は、大田区長、副区長、教育長、代表監査委員に対し4年毎に支払われる退職手当があまりにも高額であるので半減しようとの趣旨であります。大田区長は2314万余、副区長が1336万円余、教育長が843万円余、代表監査委員が550万円余と、民間企業は勿論のこと、大田区役所で勤務している公務員からみても異常に高額であることは誰しもが認めることでしょう。内閣総理大臣が4年間勤めたとすると退職手当の額は524万円であります。大田区長が内閣総理大臣の4、5倍もの退職手当を支給される合理的理由は見当たりません。反面、お役人お得意の「他自治体との比較」によれば、大田区長の退職手当は、4年で月額報酬の20ケ月分であり23特別区のなかでは平均的であると言えましょう。が、だからと言って、この高額な退職金が妥当であるとの結論を見出す理由にはなりません。
であれば、何カ月分が妥当なのか、の指標を一般職の大田区職員の退職手当に求めてみました。大田区職員の退職手当に関する条例によれば、定年による退職の場合勤続1年以上10年以下の場合、1年勤続ごとに給与月額の1.4ケ月分が支給されます。そこで、今回の減額条例の中で唯一人一般職の身分を持つ教育長を基準に考察いたしました。 現在の条例では、教育長は1年勤務ごとに月額給与の2.7ケ月分の退職手当を受け取ります。これは、一般の大田区職員の1.93倍であります。であれば、この一般職の教育長の退職金を大田区職員の例に近づけ減額すべきであるとの結論を得たのです。 教育長の2.7ケ月分を半減すると1.35ケ月分となり、概ね一般の大田区職員の例と同様になります。そして、一般職の退職手当の減額でありますから、議長を通じて東京都人事委員会に減額についての意見を聴取したところ「異議ない」との回答がありました。教育長を基準にして、各特別職の退職手当の支給率を区長は1年勤務ごとに2.5ケ月分、副区長は同様に1.8ケ月分、代表監査委員は1.1ケ月分とするのが本条例案であります。その結果、区長は4年毎に1157万円余、副区長は668万円余、教育長は421万円余、代表監査委員が275万円となり、それでも、まだまだ高額との印象は払拭できません。
総務財政委員会では、自民党、公明党、民主党の所謂区長与党の皆さんが継続審査を主張され、日本共産党が条例案に賛成したと聞いております。さすがに、区長与党の皆さんも、これだけ高額な退職手当を「そのまま認める」とする「減額条例反対」の態度はお示しになれなかったのでしょう。 そこで、「半額の理由が不明確」「引き続き議論すべき」との理由で、継続審査を主張されたのでありましょう。しかし、継続を主張された皆さんもご存じのように、今期の区議会は本日で終了いたします。ここで「継続審査」を認めるということは、「審議未了、廃案」を意味します。そして、松原区長にはめでたく来月2314万円もの退職手当が税金から支給されてしまうのです。
この条例案に「継続」を主張した皆さん、今一度私たち議員の仕事を考えてみましょう。 おかしいと思った時、民意からそれている時、又それを気付いた時に修正するのが私たち議員の、議会の使命であり、権能ではないでしょうか。与党であることより、議員であることに誇りを持とうではありませんか。
先日の読売新聞の統一地方選挙の特集記事に、皆さんもご存じの子育て支援団体のKさんがコメントを寄せられていました。「大田区には、政策提案が出来る議員はほとんどいない」と。そして、この連載記事の主張は「何も議論しない追認機関たる区議会、市議会」というものでした。また、2月17日の朝日新聞の社説では「なくそう三ない議会」として、「議員ごとの賛否を公開しない」「修正ををしない」「提案をしない」と我々地方議会を酷評しています。名古屋の例を見ても、そろそろ住民、有権者が我々地方議会のあり方に疑問符を突き付けているのがわかります。
高額な区長などの退職手当満額支給を半減しようとする条例提案について「継続審査」としようとされている多くの区議会議員の皆さまには、どうか、党派やイデオロギーの対立を乗り越えて、真の議会改革のため、そろそろ気づいていただきたいのです。いまこの瞬間も灯油が切れ、毛布だけで暖をとっている被災者の皆さんを想い、自分たちだけ「もらえればいい」と言う我欲とも言える高額な退職手当を、大田区議会の良識で変えようではありませんか。議会の議決機関としての権能を示すためにも「継続審査」をやめ、本定例会において委員会審査を省略し採決されることを強く強くご期待申し上げ「継続審査」に反対する討論といたします。
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