2010年09月01日(水) |
保健福祉委員会行政視察@九州大学 |
いよいよ行政視察最終日である。昨日までの視察がいささか「不完全燃焼」だったので、最終日に期待していたら、実に素晴らしいものだった。最後に「美味しいもの」を持ってくる議会事務局職員の技には感動した。
行き先は、九州大学システムLSI研究センターだ。これは、厚生労働省の「社会保障の在り方検討会」により検討された「社会保障カードの実証実験」を九大が民間企業と共同で請け負った部門で、その成果を視察させていただいた。
この実証実験には、九大隣接の福岡県糸島市の行政、医療機関、市民約1000名が協力し、平成22年6月1日から2ケ月間、新たに作られた社会保障カード(ICカード)を使い、その実用性、問題点などを検証したものである。
利用者は、パソコンにより「社会保障のマイページ」を開くと、自らが受けられる社会保障サービスが検索出来る。また、現在、年金機構から送付されてくる「ねんきん定期便」の内容も、瞬時に確認できるのだ。
さらには、行政サービスの総合窓口や、母子手帳の申請、交付、医療機関での医療保険資格確認など、社会保障サービスに限らず、行政サービスを受けることが出来るというものだ。
このプロジェクトの責任者である、石田浩二客員准教授は、この実証実験で感じた大きな問題点につき説明された。
1.我が国の個人情報保護の考え、すなわち「人の命より情報保護」などと言っているのは、世界的に見ておかしい。義務と権利の意識が希薄なことによるのかもしれない。我が国の個人情報保護は「かくすこと」しか主張しない。個人情報とは、権利を守るものであるべきである。知って欲しい人には知らさねばならない。
2.価値のコントロールが役所で出来ていない。社会保障カードを使って、コンビニなどの端末(コピー機)で、他でコピーできない証明書を発行する技術を作った。ところが、情報保護の観点から、行政のサーバーから直接データーを取り込めない。そこで、違うサーバーに一回蓄積して情報を取り出すシステムにすると「それは原本ではない」から、証明書として使えない、とくる。このような考えを変えなければ、情報化には遅れてしまう。
3.電気もまともにないバングラデイシュで、社会保障カードが急速に普及し、そのお手伝いをしている。なぜ、そんなに普及するのか?それは、皆「生きるのに必死」だからだ。我が国は、なんだかんだ言っても、まだまだ余裕がある。「必死」にならないと、出来ないことがあるのだ。
それにしても、我が国の学問のメッカである「旧帝国大学」の設備の古いこと。山本蓮荕参議院議員が「2番じゃだめなんですか?」と言った影響だろうか。我が国の未来は「技術立国」しかないだろう。もっと、研究機関の研究環境を改善するべきだ、とも痛感した視察だった。
3日間で使った公金は、一人約10万円、議員10名、職員2名で120万円。それに見合う成果を、参加した我々議員は、大田区に持ち帰り活かさねばならない。
それにしても、この3日間、私を含めた男女の先輩、同僚議員、事務局職員全員が、酷暑の中、視察先への礼儀として「上着」を着用していたのに、1年生議員2名が、上着なしで参加し、うち1名は首輪(ネックレスというのか)を常時していたのにはビックリした。現代的というか、礼儀知らずというか‥嗚呼!!!
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