2010年03月27日(土) |
こんな悲しい国がすぐ隣に存在するんだ!〜クロッシング〜 |
昨晩は、長い予算委員会も終わり、久しぶりに映画を見に出かけた。題名はクロッシング、北朝鮮で暮らす親子の悲しい生き様を描いた韓国映画である。草莽地方議員の会を通じて、日本の配給元より試写会にご招待いただいた。
噂で「悲しい映画」だとは聞いていたが、あまりの悲惨な映像、展開、結末に、映画が終わっても力が出ないほどの脱力感と、悲壮感、さらには、立ち直れないほどの涙で、呆然としていまった。
舞台となる家族は、北朝鮮ではごく普通であろう粗末な木造長屋に暮らす3人家族。父親は元有名なサッカー選手。身ごもった結核の母、父親に教えてもらったサッカーと父が大好きな少年「ジュニ」、それに愛犬1匹。
父親は、サッカー選手をやめ、なぜか炭鉱夫として働いているが、貧しくて日々の食料も事欠く。栄養失調が原因で結核になった妻に栄養を取らせたい。屋外でタバコをすっている男の目に、愛犬の顔が映った。その晩、一家の夕食は豪華な肉料理。不審に思った息子が「今日は何の日。誕生日でもないし‥こんなご馳走?」黙る父と母。と、突然、息子「ジェニ」は愛犬がいないことに気づき、今食べた肉を吐き出し、号泣する。
そんな生活の中、同僚の男が、賄賂を使って中国貿易で稼ぎ、いい暮らしをしていた。妻の結核を治す薬は北朝鮮では入手できない。彼に、中国で調達してくれるように頼んだ。ところが、その夜、同僚の家に党幹部が乗り込み、すべての財産を没収し、連行されてしまったのだ。これでは妻の病気を治す薬を入手することは出来ない。食べ物もない。父親は中国への密入国を決意する。
行かないでと止める息子に「必ず薬と食べ物を持って帰る。サッカーボールも買ってくる。その間、お母さんを頼む」と、父は旅立った。様々な経緯があり、父親は韓国へ逃れた。その頃、北朝鮮では妻は亡くなってしまったのだ。途方にくれた「ジェニ」は、家にあるものを近所のおばさんに頼んで売り払い、有り金を持って、父のいるであろう中国を一人で目指す。
ところが、父はすでに韓国。「ジェニ」は脱北直前に、国境手前で北朝鮮兵に発見され、収容所に収容されてしまった。一方、韓国で必死に働き金を蓄えた父は、脱北ブローカーに金を送金し、家族と連絡を取ろうとした。ところが、妻の死と息子の収容所送りを知ることになる。
ブローカーが収容所幹部に賄賂を送り、なんとか収容所を出ることができ、中国に密入国にも成功。父親と感激の電話対話できた。その最初の「ジェニ」の言葉。「お父さん、ごめんなさい。約束どおりお母さんを護れなくて‥ごめんなさい!」
それから「ジェニ」は、さらに、モンゴル国境越えをブローカーや他の脱北者と挑戦するが、彼だけが一人でモンゴル領内までたどり着けることができた。
砂漠の道なき道を一人歩く「ジェニ」。一方、父親は、韓国から空路、息子を迎えるためモンゴル入りをするが、思わぬアクシデントで空港で足止めを受ける。
歩いても歩いても誰もいない砂漠。夜もふけ、体力も衰えた「ジェニ」は、満天の星を眺めながら「お母さん」と呟いて死んでいく。
その知らせを聞いた父親は、砂漠にかけつけ息子の亡骸に号泣して誤るのだ。「ジェニ、ごめんな。間に合わなくて。迎えににいけなくて‥ごめん」 その手には、「ジェニ」に北朝鮮に戻る時に買って帰ると約束した真新しいサッカーボールがあった。
以上が、大雑把なあらすじだが、書いていても場面が思い出され泣いてしまう。きっと、多くの家族が、この瞬間もかの地で同じような想いをしているに違いない。
世界を揺るがす収容所国家「北朝鮮」、脱北と引き裂かれた家族の衝撃、生きるためには別れるしかなかった。と映画のパンフレットにあった。また、映画で再現された「脱北ルート」は、助監督が実際に脱北したルートだったというのも、この映画のドキュメンタリー性を高めている。
多くの日本人が、この映画をご覧いただき、隣国でいま実際に起こっていることを直視していただきた。また、犯罪者金正日に洗脳されてしまっている、在日朝鮮人総連合所属の人々、朝鮮学校の児童生徒にも是非とも祖国の実態を見つめる機会にしてほしい。
そして、なんとしても国際社会が協調して、北朝鮮で悲惨な生活を強いられている人々を解放しなければならない。誤解と反論を恐れず言えば、CO2、25%削減などより、よほど重要な課題である。
4月17日(土曜)より渋谷ユ−ロ−スペース(文化村交差点左折)にて公開。(Pコード461-677)5月1日より全国公開
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