いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2009年10月17日(土) 「違法」町会会館は「合法」by東京地裁鑑定人

 平成16年1月に竣工した「東六郷2丁目町会会館」につき、その施工が違法であり、町会は「詐欺」だ「税金泥棒」だ、その町会に加担した「いぬぶしはとんでもない議員」だ、と町内どころか太田区中にチラシをばら撒いたSさん。

 あまりの被害妄想的、独善的内容に、町会長をはじめ私を含め名指しされた8名が、損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴をしたのが2年前である。当初は、すぐにでも判決が出ると予想されていたが、Sさんもなかなかで「町会会館が違法建築なので、チラシを入れた」と、争点を「建築紛争」に置き換えてきた。

 つまり、名誉毀損にもあたるチラシの記載は「違法状態を改善するため止むを得なかった」と反論した。また、町会や町会役員に対する言動に怒った町会は、理事会においてSさんを「除名処分」とした。

 そこでSさんは、「除名処分無効」「慰謝料支払い」「無効公告掲示」を町会理事40名相手に提訴した。この裁判はすばやく、一審では「除名無効」「慰謝料却下」「無効公告1ケ所」というものだった。ところが「慰謝料却下」を不服としてSさんは東京高等裁判所に控訴。

 ここでも、「除名無効」「慰謝料却下」は変わらなかったが、「無効公告」の場所を、町会全掲示板に広げられた。Sさんご本人は「勝訴だ」と言っているようだが、法曹関係者によれば「除名無効」で「慰謝料なし」は聞いたことがない、そうで、これは、裁判所がSさんの「チラシ」の責任を相殺した結果だ、とも。

 さて、残る「町会会館の違法建築か」を争っている「損害賠償事件」では、原告(町会側)、被告(Sさん側)双方から建築士が作成した意見書が裁判所に提出された。困惑した裁判官は、裁判所選定の公正な「鑑定人」に鑑定させることとした。

 そして、先日、ついに鑑定書が提出された。内容は多岐にわたり長文なので、概略だけを示す。(カッコ内はSさんの主張である)

1.接合工事は通常の水準内である。(Sさん主張、以下同じ:ひどい工事)
2.工事業者へは指示を与えている。(指示されていない)
3.工事業者への指示は適正である。(指示が適正ではない)
4.設計図書の指示を守った施工である。(施工方法を守っていない)
5.本件工事は適正であるので、被告が主張する耐震性への影響、是正措置については論ずる必要がない。(違法であるならば、耐震への影響、是正はどうするか)
6.設計図書を参照しなくても本件工事が不適当と結論付けるものはない。(設計図書を参照するまでもなく本件工事が不適当と結論付ける余地がある)

 上述の鑑定人の鑑定書だけを見れば、本件裁判の争点になってしまった「町会会館の建築違法性」は否定されたようだ。


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