2009年02月10日(火) |
ある夫婦の会話とお役人の常識‥ |
夫:前から買おうと言っていた地デジのテレビだけど、20万円で買ったか らね。会社から補助金1万5千円出るから差額の18万5千円の半分を お前が負担してくれよ。
妻:ちょっとまってよ。どんなテレビか、価格の相談も、いくらずつ払うか も決めないで、いきなりはないじゃないの。だいたい、なんで20万円 なのよ。もっと安い店を探せばいいじゃないの。それに、地デジ完全切 り替えまで、まだ3年もあるじゃない。
夫:だって、会社の補助金の締め切りがあるし、会社指定の業者は高いのは わかっているのだけど、しょうがないじゃないか。もう買っちゃったん だ。みんな買っているのに、俺だけ格好悪いじゃないか。頼むよ!
妻:知らないわよ。勝手にやったんでしょ。あなたの格好悪さなんて関係な いわよ。あなたが払えば!
夫;わかったよ。じゃあ、70%俺が払うから、30%出してくれないか?
妻:あまりにも横暴よ。誰かに相談してみるわ‥
と、誰が聞いても、この夫は独断専行であることがわかる。それは、お役人が読んでもであろう。ところが、現実にこのようなことが区役所では行われているのだ。
ある高齢者福祉施設2軒でのことだ。これらの施設は、大田区の建物を民間事業者が賃貸して運営をしている。建物には、スプリンク−ラ−の設置義務はなかったが、将来の法令改正を予想して賃貸契約書には「スプリンク−ラ−設置の費用負担については双方で協議する」と書かれている。
そして、消防法施行令の一部を改正する政令が一昨年公布され、小規模社会福祉施設にもスプリンンク−ラ−の設置が義務づけられることになった。ただし、施行は本年4月1日。さらに、経過措置として平成24年3月31日までに設置するように求めているのだ。
が、大家さんの大田区は、昨年クリスマスイブにさっさと入札を行い、現在設置工事が行われている。さらに、すごいのは「負担割合の協議というのは、通常は折半が常識(担当者)」だと、総額約2000万円から東京都の補助金150万円を差し引いた1850万円の半分を払え、と言ってきたのだ。
900万円を超える金額を年度末までに払え、それも事前に負担割合についての合意もなしに工事に着手してである。そこで、区の担当者に聞いた。
私: なぜ急ぐのか?まだ3年もあるじゃないか。
担当:大田区の所有する施設なので、万が一の場合、区の責任が追求され る。
私: 区の責任回避のためなら、事業者に負担を求めず、自前でやればい い。
担当:規約書に「協議する」と書いてあり、協議とは一般的に折半だと法規担当(総務)も言っている。
私: 工事着工前に、いくらいくらかかりますけれど、折半でいいですか?と確認し合意してから発注するのが常識だろう。協議が折半などという常識は、民間にはない。(上述の夫婦の話を例にして)こんなことを、あなたの家でやったら、奥さん怒るだろう。
担当:妻は怒ると思う。手続きに問題があったと思う。
私: 何ら、債権債務に関する書類が存在しないし、口頭での金額の合意もないのだから、「債務不存在の訴え」を提訴されたら、区は敗訴するだろう。そうしたら、私は、区長に対し「事前に協議していれば、事業者が負担したであろう、大田区がうるべき金額を大田区に対し負担せよ」との、住民監査請求を行う。これも、多分負けるだろう。とすれば、もはや、奥様、つまり事業者の「誠意」に「おすがり」するしかないんじゃないの。
担当:‥‥
私: 許認可権限と、補助金や介護保険の決定権を持っているからと言っ て、こんな非常識なことしちゃだめだ。
所管課長からは「3割負担でどうか」との打診があったそうだ。まだまだ。何しろ、支払うべき「原因証書」が存在しないのだから、法的には支払い義務はない。頑張って!ちなみに、総務課の法規担当に確認したところ「協議が折半という常識」と話したこともないし、そのような常識は存在しない、とのことだった。
嗚呼!お役人様!!!!
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