いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2008年12月05日(金) 職場体験でフリ−タ−が減る?by大田区教育委員会

 大田区の中学校では、2年生になると校外学習として長野県にある「大田区休養村とうぶ」に2泊3日で宿泊する行事がある。親元から離れること、普段と違った環境に泊りがけで行ける事などで、生徒達にはいたって人気のイベントであった。また、小学校で使っていた「老朽化した伊豆高原学園」とは違って、ホテルライクな施設も人気の一因だった。

 ところが、来年度から突如この行事が廃止になると発表された。その理由は、な、なんと「フリ−タ−対策」である。実は、同様の「校外学習」として、3日間の「職場体験」というものもある。

 これは、学校に協力をして下さる事業主の職場に3日間生徒がおじゃまして(本当に邪魔らしい‥)職場の体験をする、というものだ。この行事の難点は、「職場さがし」である。何しろ忙しい企業の現場において中学生の「おままごと」に付き合う余裕はない。

 担当の教員や地域の有志の努力と協力で、なんとか成り立っているのが現状だ。うちの娘の通っていた中学校の女子の間では、近所のケ−キ屋さんが大人気だったそうだ。理由は「帰りに余ったケ−キをもらえる」からだそうだ。はたして、彼女達は、フリ−タ−にならないで「そうだ!ケ−キ屋さんになろう」と思うのだろうか。否。

 ところが、何を勘違いしたのか大田区教育委員会と先生方は「フリ−タ−対策」のためには「職場体験」を増やそう、と決意されたようだ。3日間でも職場を見つけるのが大変なのに5日間にするというのだ。5日間も職場に迷惑にならないか、との保護者からの質問にある学校幹部は「大丈夫です。初日は準備、最終日は反省ですから3日と変わりません」。おいおい、なんじゃい。

 そもそも、フリ−タ−対策に近所のケ−キ屋さんやファミレスの皿洗いを経験させることが、どれほどの意味があるのだろうか。多分「働く意義を見出させる」ということだろう。大きな勘違いである。

 すべきは、学校や家庭、地域において「他人のせいにしない生き方」「小さな成功体験」を彼等に教えることであろう。フリ−タ−になり、大事件を起した人間の成長過程を見るにつけ親、とりわけ母親の影響の大きさを感じる。「権力」は悪、「企業」は悪、「政治」は悪、「父親」も悪、さらには「日本」も悪。

 こんな教育を受けていたら、誰が「頑張ろう」という気になるだろう。職場体験の日数を増やす感覚は、目の前で脳内出血をして瀕死の状態の人間に、小さな外傷だけを見て「バンドエイド」を貼って「私はやるだけのことはやった」と偽善者ぶっている自己満足にすぎない。

 はっきり言って、こんな粗末なビジョンしか持ち得ない「大田区」と「大田区教育委員会」さらには、発議した教員に教えられる子供達は不幸である。
 
 民間出身を標榜される新区長の、志ある再考を求める。

 


 < 過去  INDEX  未来 >


いぬぶし秀一 [MAIL] [HOMEPAGE]
 
↑今日の日記は気に入りましたか?
My追加