いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2008年11月10日(月) マニュアル依存症の勘違い笑い話2件

 アメリカ型サ−ビス産業が上陸してもてはやされたのは「マニュアル」である。わが国には、形から入り心を磨く伝統文化があるが、同じ国民でも異文化、異言語が共存する米国では、共通の価値観を共有することが困難である。そこで発達したのが「マニュアル」であろう。

 ところが、いつのまにか日本でも「○○マニュアル」が全盛を極め、自ら考えることをしない教育をされた若者は、マニュアルがないと心配で行動できない、という弊害が起きている。「恋愛マニュアル」だの「口説きのマニュアル」など、真剣に読んでいる若者を見ると情けなくなる。

 さて、今日のマニュアル依存バカ話2つは、その意味でとても面白い。

ケ−ス1:マクドナルドの場合

 一昨日の土曜日、休みの朝、朝食作りから妻を解放しようと、マクドナルドに朝食を買いに出かけた。いつものように、HPから割引ク−ポン券を印刷してである。家族中が好物のベ−コンエッグマフィンのセットを3セット注文した。すると中年のパ−トと思しきオバチャンが「割引ク−ポンを2枚持っているか」と聞く。今まで何度もク−ポンを使っているが、どこの店でも回収はおろか、見せることすらしたことがなかった。どうやら、1枚で2セットしか買えないらしい。

 今まで見せたこともないことを言ってもオバチャンは引かない。マネ−ジャ−と書いた帽子をかぶった若い男性バイトも譲らない。(マックでは人件費削減のため、長く勤務している経験あるアルバイトにスイングマネ−ジャ−という呼称を与えてバイトの管理をさせている)では、目の前のコンビニでコピーしてくる、と食い下がると「プリントアウトでなければダメだ」そうだ。本来来客促進で配っているク−ポンで客を怒らせてどうする、と思ったが二度といかなければいい話だ。ところが、だ。本社お客様相談室にクレ−ムをつけた電話の女性の言葉にはビックリ。「お店の対応は間違っておりません」ときた。

 その通り、マニュアルどおりであろう。規則では2セットであろう。しかし商売の本質は規則なのか。上司に代わってもらい、同じ話をすると、やっとマトモな人に会えた。今後の検討と、ク−ポン利用についての対応について指導すると約束してくれた。

ケ−ス2:大田区民ホ−ルアプリコの場合

 11月7日に教育委員会および校長会主催の区立中学校連合学芸会が、区民ホ−ルで行われた。このホ−ルには地下駐車場からコンサ−ト会場入り口の3階までエレベ−タ−が設置されているが、有料のコンサ−ト等の場合は、チケット確認の必要があるので、2〜3階は停止しないようになっている。(今回は無料で、誰でも入れるので、停止しても問題はない。)

 そして当日。孫の晴れ姿を見に来た足取りが覚束ないおばあちゃんが、エレベ−タで会場のある階まで行きたいと申し出た。また、ある中学校のお母さんはアキレス腱を切って松葉杖をついていた為エレベ−タ−を使わせて、と懇願したが受け入れられなかった。区から指定管理者として委託を受けた財団法人大田区文化振興協会のさらに再委託を受けた窓口の女性職員は、なんと、なんと「主催者からエレベ−タ−を動かすとは聞いていないから、主催者に言ってくれ」と答えたという。

 そこで怒ったPTA関係者から私にこの苦情が持ち込まれた。さっそく区役所を定年になって「天下った」女館長に事と次第を話すと「事実関係を調べて返答する」という、お役人のマニュアルどおりの回答が返ってきた。ここまでは予想通りである。ところが、驚きはその後の対応にあった。

 まずは、議会の控え室の内線がなった。なんと相手は「主催者」である教育委員会指導室からだ。「何か合唱コンク−ルで不手際があったそうで申し訳ありませんでした。」な、なんだと!!あなたのところは何も悪くないのよ。なんで、「事件の首謀者」たる館長が詫びずに、教育委員会なのよ。

 なんと、かの館長さん、自らの非を転嫁して主催者の責任にしようとしたようだ。これも、お役人社会を生き抜く「正しいマニュアル」である。これに怒った私は、すぐさま館長に電話をすると、さすがである。

 定年後も、お役人としてのマニュアルを忘れない彼女は、散々「いかに委託業者が規則どおり正しい対応をしたか」を延々と述べ、最後に「常に柔軟な対応を指導している」ときた。冗談じゃない!

 目前に、松葉杖をついた母親がいる。足取りも不安なおばあちゃんがいる。エレベ−タ−がある。その現場で「主催者に聞いて来い」という対応を、民間では「柔軟」とは決して言わない。ましてや区立の区民ホ−ルで教育委員会主催である。その場で動かして誰が「規則違反だ」と言うだろうか。

 マックのマネ−ジャ−さんも、お客様相談室の女性も、この館長さんも「ホスピタリテイ」を忘れている。なんの為のマニュアルか、なんの為の規則か。

 お客様が、区民が「いかに気持ち良く、楽しんで頂けるか」のはずが、自らを守るために使ってしまっている。なんとも、情けない感覚である。

 ちなみに、この館長さん、怒涛のごとく怒った私が「上等だ。議会に参考人として来て、同じことを言ってくれ」と言った途端「言葉が足りなかった」と平謝り。これも、勘違い役人にありがちな光景である。

 ちなみに、財団法人大田区文化振興協会理事長は、元区議会議長経験者、事務局長は前教育長、管理職も区からの出向か区職員の定年退職者。「民間感覚」は無理かもネ…

嗚呼!マニュアル世代!!!!民間出身の区長さん!たのんますよ!




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