いぬぶし秀一の激辛活動日誌

2007年11月23日(金) これで破綻への道が着実に?新銀行東京代表にお役人が就任

 昨日、東京都は新銀行東京の代表執行役員森田徹氏(りそな銀行)が退任し、東京都港湾局長の津島隆一氏を充てる人事を発表した。

 新銀行東京は、2年前に石原都知事の肝いりで、都が1000億円もの出資をして中小企業金融の新たな選択肢として設立された銀行である。わが大田区にも、蒲田支店が開設され(すでに閉鎖)、区内中小企業への資金供給が期待されていた。

 が、結局、金利が高いこと、さほど他の既存の金融機関に比べて審査が甘いわけでもない事などから、優良取引先からは敬遠され、返済に懸念がある融資で実績を伸ばさざるを得なかった。

 結果として、今年3月期決算では547億円の赤字を計上し、設立以来の累積赤字は、なんと849億円にものぼっている。

 臨海部開発の東京都三セク三社の破綻でも明らかなように『武士の商法』で会社が存続するほど、民間の市場経済は甘くない。一般的にお役人は、長い公務職場での経験から『法や条例、規則に則ったルーチンワーク』は得意であるが、新たに何かを創造することは不得意である。

 さきの大田区長選挙で、20年間の旧政権を支えてきた前助役が出馬された。その選挙対策本部(通称 選対)は、100%区役所OBで固められていた。これが敗因の一因でもあったのだ。

 公職選挙法に基づく手続きなどは、実に難なくこなす選対も、人々から票を頂く、明るく電話応対をする、笑顔で接客する、正しく名刺を出す、などという民間では新入社員教育で行う基本さえ出来ていなかった。さらには、後援会組織を新たに作るなどという創造的な難業は、お役人ではできない。
結果は言わずもがなである。選挙という究極のマーケッテイングが出来なかった証だった。

 私は、会社も学校も職場もすべて『親分次第』で如何様にも変わる、と主張している。会社では社長、学校では校長、役所なら首長の器と想いで、組織は変わるということだ。

 この度、破綻寸前の新銀行東京の代表に就任された津島氏は、あの都庁という大きな組織で局長にまで上り詰められた方なので、さぞかし優秀であろう。しかし、それは、お役所という特殊な世界で『優秀』であっただけの話だ。はたして、民間のそれも金融機関でも『優秀』であろうか?私は、確信を持って否と申し上げたい。

 これで、新銀行東京の破綻は時間の問題となった。石原都知事がプライドにかけて、新たな税金による援助をして『お葬式』の日を先延ばしにしないよう望む。今、かれらがすべきは、早々に手を引き、日本振興銀行など志とパワーのある民間金融機関に身をゆだねることである。


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