2006年12月08日(金) |
第四回定例会 補正予算反対討論 |
私は、区長与党を自認している。しかし、与党だからとて、おかしい時は、はっきりと反対すべきが、2元代表制の議員の務めであると思っている。今回は、補正予算に反対した。以下、本日の反対討論である。
改革110番、私、犬伏秀一は、ただいま上程されました第116号議案平成18年度大田区一般会計補正予算第4次につき反対の立場から討論をいたします。
本補正予算のうち、歳入における特別区民税520万円分の増額、歳出で同額の清掃管理費が私の反対する部分であります。本支出は、東京23区清掃一部事務組合と東京ガス株式会社が合弁で設立するゴミ処理及び売電会社、東京エコサービスの株式出資のためのものです。私を含む、多くの見識ある23区々議会議員が本会社設立に異議を唱えております。
反対の理由の第一点は、ただでさえ各区、区民や区議会の監視がしにくい構図である清掃一部事務組合の、またさらに別会社となれば、より一層不透明なものとなる可能性があることであります。この点は、多くの区議会においてにおいて、このことについての疑義を含め保留の態度を示されていることからも明らかであります。
第二点は、廃プラスチックの焼却について、到底各区の合意が得られたとは思えないことであります。現在大田区においては、発泡スチロールトレイやペッットボトルを資源ゴミとして分別収集を行っており、区民のリサイクル意識も高まっているところであります。せっかく、意識啓蒙したものが、廃プラスチックは可燃ごみということになれば、これら多くの資源も可燃ゴミと共に出されることが懸念されます。また、プラスチックを焼却する際に排出される有毒物質についての検証も定かではありません。
第三に、健全な競争原理が働かなくなることがあげられます。東京エコサービスがゴミ焼却で得た余剰電力は、東京ガスの売電子会社を通じ、23区の公立学校に売却されることになっております。しかし、単独の事業者が独占的に電力を供給するこの仕組みでは、市場原理が働かなくなり、公立学校は高値の電力を未来永劫にわたり買わされることになり、反面、東京エコサービスは、安定的顧客を営業努力なしに獲得できることになります。さらには、民間の電力需要のピークである夏季においては、公立学校が休業となり、その余剰電力は東京ガス売電子会社の、好都合な電力供給源となるのです。はたして、この構図で得をするのは誰でしょうか。このような仕組みを民間では「競争」とは呼ばないのであります。
第四に、この会社がはたして、民間企業なのかという点であります。代表取締役社長は、特別区区長会会長のあて職で、設立時の社長には当区の西野善雄区長が就任されました。私は、先週50歳になりましたが、その人生の半分以上を会社経営者として過ごし、その間、多くの経営者と出会ってまいりました。その結果「会社の栄枯は社長次第」との、あたりまえの原則を痛感したのであります。東京都が設立した臨海第三セクター3社の無残で、無責任な放漫経営の顛末は正にそれを物語っております。特別区長会会長交代の都度、社長がかわり、その社長は、たまにしか出社しない、それを民間会社とは呼べないのであります。 また、30人の工場職員は23区清掃一部事務組合の職員が出向し、その30名の現場に、なんと、事務職員は15名。高賃金の一部事務組合職員が出向し、稼がない事務職が15名とは、到底、まともな会社経営とは思えない、と感ずるのは私だけではないでしょう。
昨今、多くの知事、市長の不祥事が報道され逮捕者が連日増えているのは残念なことであります。その背景には強い首長と弱い議会との構図がある、ともささやかれております。わが国の地方自治が、2元代表制をとっている以上、執行機関の長たる首長に大きな権限が集中するのはやむをえないことであります。しかし、弱い議会ではありません。現に、宮崎県においては、県議会の不信任決議により県知事が失職をしているのです。どうか、ここに参集されている見識深い議員の皆様、本件に異議を唱え、議会の良識を示そうではありませんか。与党会派とは、行政が提出した議案をすべて追認するという立場ではないはずです。議会は行政の諮問機関ではありません。おかしいことにはおかしい、と意思表示してこそ、67万区民の信託に応える区議会と言えるのではないでしょうか。議員各位の勇気あるご判断をお願いして反対討論といたします。
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