2006年08月02日(水) |
ちょと防衛庁長官甘いんじゃない‥ |
以前、ウイニーを通じて情報漏えいを犯した海上自衛隊において、またまた不祥事が起きた。対馬防備隊に所属する1等海曹が、海自が収集した各国海軍の艦艇の写真などを集めた「識別参考資料」をCDにコピーして持ち出していた、というのだ。
我が国には、多くの国際海峡があり、領海でありながら、外国艦船の「無害通航権」が認められている。潜水艦については、浮上して国旗を掲揚することにより「無害」となるのだが、某国あたりは潜航したまま通航することもある。
これら、無害、有害を問わず監視識別することは、四方を海に囲まれた我が国にとっては、重要な防衛情報である。海上自衛隊では、各海峡に警備所を設置して、この情報収集にあたっているのだ。
そこの、1曹がCDをコピーし自宅に保管していた。それだけでも問題なのに、再三、無許可で上海に渡航し、親しくなったカラオケ店女性に350万円を送金した、というのだから問題は複雑だ。このカラオケ店は、自殺した上海領事館員が、「ハニートラップ(色仕掛け)」にあった店だ。
この事件を受けて、額賀防衛庁長官は「大した問題じゃないと思う。彼は、機密情報にアクセスできる立場ではなかった。」とコメントしている。
防諜のため、わざと小さくして語っているのなら、よいが、ホンネで語ったのだとしたら、もはや防衛庁長官としての資質を疑う。再三の注意にも関わらず、情報が外部に持ち出せたこと、上海に無許可渡航が出来たこと、これだけでも大問題である。
さらに、1曹という階級にある人間が「機密情報にアクセスできない」と、思っているとしたら、自衛隊の現場のことをまったくご存知ない、又は、知らされていない。
陸海空各自衛隊において、実際に現場の仕事の中心をなしているのは、「曹」と呼ばれる階級の人々で、旧軍の下士官に相当する。下から、3曹、2曹、1曹、曹長と4階級に分かれており、多くの自衛官が曹長の階級で定年退職を迎える。1曹というのは、中堅中の中堅。仕事の中心である。
その人間が、機密情報にアクセスできなければ仕事にならない。ちなみに、今から30年前、18歳の若造、まだ自衛隊生徒空士長という階級だった私ですら、それらの一部は知り得たのだから。
このような不届き者は、極一部ではあろうが、防衛省への組織改編を目前に控えた時期だけに、関係上司の処分など、どうでもいいから、全組織あげて「情報」に対する認識を新たにする施策を緊急に実施すべきだと思う。
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