2004年07月12日(月) |
積算基準は公開できません!公共工事の立ち退き補償 |
先日ある区民の方からお電話で相談を受けた。今、区内で進行中の京浜急行連続立体交差事業について、買収予定地にあたるが、東京都の対応が誠実ではない、との内容であった。一年前に、この方が、都と京浜急行宛に内容証明郵便を出して、早一年。そいつはダメじゃん、と都、区、京浜急行の三者を議会に呼んで、この方に対し説明をしてもらった。
ややこしいのは、東京都と大田区の事業で、京浜急行もからんでいるのだが、土地買収の業務を京急が都から受託している点だ。地権者にしてみれば、東京都が買収窓口で、京急は鉄道事業者だ、と思って当然だろう。しかし、事実は違う。京浜急行用地課が買収窓口なのだ。駅周辺については、この窓口が、大田区になっているから、より複雑だ。
さて、面談の冒頭、東京都と京浜急行が「対応の遅れ」を、この地権者に率直に詫びた。これは、民間では当たり前のことだが、東京都のお役人や、「お役所以上にお役所的」と言われる京浜急行が「詫びる」などというのは、この業界では大変なことだと思う。その点は評価できる。
しかし、その後には正直、ビックリだった。問題の本質は、地権者の希望価格と、東京都が京急を通じて提示した価格の隔たりだった。そこで、私は、この提示額の上乗せは、「交渉」の過程であるのか問いただした。答えはノーである。公共工事立ち退きの積算基準に基づいて算出されており、その個別の上乗せは、制度上ありえない、そうだ。なんじゃい、そりゃ「交渉」ではないじゃないか。
要するに「お上」に決めた基準で積算したから、これで出ていけ、ということだ。運用で判断できる「上乗せ」がないのなら、いかにも「交渉」を装わず、さっさと強制収用すればいい。もちろん、大反発があるだろうが、要するに、何年かけて「交渉」しようとも、価格に変わりがないのなら、同じことだ。
さらにビクリは、その基準を教えて欲しい、と依頼すると「開示対象にはなっていない」と。人の財産を勝手に査定して、その基準は教えられない、とは、どういうこっちゃ!せめて、あなたの家族が、この該当地に住んでいる、という気持ちで地権者に接して欲しい、と要望して会談は終わった。
どう言葉で繕ってみても、まだまだ日本は「お上」の世。愚民行政花盛りだ。こいつを変えるのが、議会や議員の仕事だが、敵は手ごわい。
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