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2020年12月07日(月) 「The Pedestrian」のこと

 「The Pedestrian」(skookum Arts)の感想を。
 ピクトグラムを題材にしたパズルゲーム。プレイヤーは人型のピクトグラムを操作して、街中にある掲示物を渡り歩き、そこに仕掛けられたパズルを解いていく。
 操作は移動、ジャンプ、アクション、切り替え。アクションは物を持つ、スイッチを動かすといった動作が行える。パズルのピースが表示されている面では、切り替えボタンで全体像を写し、そこで掲示物を動かしたり扉や梯子、配線をつなげることで、掲示物の間を移動可能にしたり電気を流して仕掛けを動かすことができる。

 パズルゲームとしては割と一般的な内容ではあったが、徹底的にこだわった演出が凄まじい。今までに見たことの無いような衝撃的なPVに、即ウィッシュリスト入りであった。
 まずは、ピクトグラムを題材としたゲーム画面が実に洗練されていて、それだけで新鮮な印象を受けた。街中に配置された掲示物に描かれたゲーム画面は、ピクトグラム同様に余計な情報が一切省かれていて、パズルを素直に楽しむことができた。また、ゲームのように街中に動きのあるピクトグラムが溢れていたらさぞかし楽しかろうと、想像を掻き立てられるものもあった。
 そして何より背景が凄まじい。ゲームが進行する画面は掲示物というモニタ内の限られた平面の中で、グラフィックもピクトグラムを模したもので洗練されてはいるものの派手さは無い。しかし、まるでそれを補うかのように緻密に描かれた背景は、最早風景と言っても過言ではないほど見事の一言に尽きた。大量の荷物が置かれた自動倉庫の中や人気のない下水道、交通量の多い大通り、夕暮れの路地裏、雨に濡れたネオンが美しい夜景など、どの場面も海外に行けば実際にありそうなほど現実味を帯びていた。さらに、倉庫ではダンボール箱が次々と運び込まれ、大通りではひっきりなしに車が通行したり工事車両が作業をするなど、動きをもって臨場感の溢れる背景が次から次へと惜しみなく現れる様には、誰がパズルゲームの背景をここまで凝ったものにしろと言いたくなるほどの驚きを覚えた。序盤こそピクトグラムの演出を楽しんでいたが、途中からはすっかり背景を見るのがゲームを進める目的になってしまったほど、魅力的な背景が最後まで続いていた。あと、中には掲示物の中の変化がそのまま背景に反映されるような面白い演出もあった。例えば、掲示物の中のシャッターが開くと、それに同調して背景のシャッターが開いたり、ゲーム内で入手したアイテムを携帯ゲーム機の画面内に設置すると、実際に携帯ゲームにそのアイテムが接続されるなど、掲示物の中の世界と現実世界との境界が曖昧になるような不思議な感覚も楽しめた。
 パズル自体はそれほど難しくなく、4時間程度で全面クリア。難しくはないものの、いろいろと趣向を凝らした仕掛けが続いて、最後まで飽きずに楽しめた。そして、最後は奇をてらった大掛かりなパズルが用意されており、今までの集大成的な内容に感心させられた。

 ピクトグラムと掲示物を題材とした洗練された雰囲気のパズルに、現実味のある背景による臨場感溢れる演出が加わり、まるで掲示物を渡り歩いて街中を冒険しているかのような感覚を味わえた作品であった。本当にこんなピクトグラムが街中に溢れていたら、さぞかし賑やかで楽しいであろうかと。


氷室 万寿 |MAIL
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