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2014年10月19日(日) 「RaidersSphere4th」のこと

 今週火曜からちまちまとプレイしていた「RaidersSphere4th」(Rectangle)をクリアしたので感想を書いてみる。

 舞台はテラフォーミングが行われた金星。国連治安維持軍と巨大企業VMIとの、冷戦さながらの軍事均衡下にあるこの惑星で、主人公のエレナは民間のRaidersドライバーとして活躍していた。ある日、軍の依頼で請け負った仕事を発端に、国連治安維持軍とVMIとの紛争が勃発。エレナは軍事条項に基づき、国連治安維持軍と共に戦闘に参加する。惑星全体を巻き込んだ争いの中、軍に所属していた行方不明の父の情報を追ううちに、この惑星の秘密に迫ることとなる。

 この作品は、Rectangleが開発したゲームエンジンSphereEngine4により製作されたフライトSTG。ゲーム内容は従来の「RaidersSphere」とほぼ同じシステムで、戦闘機Raidersを操作して与えられた任務を遂行して物語を進めていく。任務は全部で30あり、通常の戦闘から強襲、拠点制圧、情報収集などその内容は多岐に渡る。Raidersも、今までお馴染みだったものに加えて新機体も追加されている。
 SphereEngine3と比較すると、描画能力の向上が先ずは注目される。複雑な構造物が構築可能になったり、光源処理による陰影の描写などが行われるようになった。ヴィジュアルノベルのような立ち絵による会話場面も標準で備わっているようである。また、着陸操作があるのも大きな特長かと。作品中でも幾度か着陸場面があるほか、作戦中に補給を行える任務も用意されている。その他にも新機能が沢山あると思われるが、特に目立ったのはこのような点。

 今までフライトSTGを製作し続けてきただけあって、フライトSTGの面白さの肝ともいえる任務内容については、トンネルミッションや拠点制圧、ライバル機との一騎撃ちなど基本的な内容が揃っており、手堅い作りであると感じた。個人的にフライトSTGの醍醐味と思っている超巨大兵器との戦闘もしっかり備わっている。ジャミングで誘導兵器が使用できない中での高高度からの強襲任務と、Raidersの上昇限界高度付近における戦略兵器の破壊任務は、中でもお気に入り。一方で、終盤の展開は割とあっさり目だったという印象。VMIとの最終決戦が最大の山場であり、この辺りはちょっと物足りなさもある。
 着陸の操作自体はとても簡単ではあるが(まず墜落しない)、それを任務の最後に持ってこられると気が引き締まるところは興味深いものがあった。着陸による補給可能な任務は、補給必須というわけではないので雰囲気程度であったが、無補給が一般化しているフライトSTGではやはり新鮮さを感じられた。
 面白いと思ったのが、独自の世界設定(世界設定や兵器の解説で小冊子が付いているほど情報量が多い)を活かした「ウォッチドッグ」と呼ばれる機械生命体の登場。空と地上それぞれからウォッチドッグが攻撃を仕掛けてくるのだが、独特の容姿と鈍重な挙動で、他のフライトSTGとの差異化が図られているように感じられた。フライトSTGだからといって敵は戦闘機や戦車でなくてはならないという制限はもちろん無いわけで、機械物でない2DSTGのような敵の出現は面白い試みであると思った次第。金星を舞台として架空色を強くした設定にも納得である。ウォッチドッグは設定の都合上主流の兵器とはならなかったが、将来的に2DSTGのような幅広い世界観をもったフライトSTGの登場も期待してしまう。
 グラフィックについては多層構造の建築物や自然の地形の描写など、「RaidersSphere3rd」に比べると格段の進歩が見られる。ただ、体験版の動画を投稿したのが2012年の8月であり、それから2年経過した今ではやや見劣りする部分も見受けられるのが正直なところ。とはいえ、ここ最近の技術、特にゲームエンジンの進歩が凄まじいので、個人開発では止むを得ないところもあるかと。あと、構造物の数に比例してかなりのマシンパワーが要求される様子。私の環境(i73770k+GeForce660Ti)では、1600x900のウィンドウモードで何とか処理落ち無しでプレイできていたが(フルスクリーンではタイトル画面から処理落ち)、それでもラスボスで遂に処理落ちが発生した。
 立ち絵による会話の場面は、序盤は緊張感の無い会話が続いて訝しんだところもあったが、結局は使い方次第であるという認識に。金星の社会問題についても細かい設定があるのだが、そういう方向に話が向くと「そういう話はいいから」とエレナが遮る展開は、小難しいことを考えるのが本題では無いので好印象。
 「RS3rd」までは任務の達成状況や破壊率に応じて装備や機体が追加されたのだが、今作では任務を達成することで得られる報酬で装備や機体を購入されるようになったのは大きな変更点。力不足と感じたら報酬を稼いで強力な装備や機体を入手できるようになったのは救済策としては良いかと思われる。ただ、破壊率は挑戦意欲を掻き立てられるものがあったので、指標として残しておいて欲しかった(なので、今回はNormalクリアでお終い)。
 気になったところは、照準と重なるように各種情報が出たり、通信の会話が表示される窓が画面上部のかなりの部分を占めたところ。これらによる視認性の低下が鬱憤を招く場面が多々あった。あと、トンネルミッションにおいて壁が判別しにくいという点も、割と致命的かと。

 各任務再挑戦無し(報酬稼ぎ無し)でNormalをクリア。お金を溜めたおかげで、RX-84という強機体が登場したら即購入できたのが大きかった。最後に登場した機体が2DSTGのように意匠を優先した容姿をしていたのは、良くも悪くも印象的であった。
 SphereEngine4になって出来る事が格段に増えたようで、息の長いシリーズではあるが新しい要素にいくつも出会うことができた。今後、このエンジンをより使いこなすことでさらなる進化があることを期待したい。


氷室 万寿 |MAIL
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