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2013年07月31日(水) |
続々・「東方活劇綺談ONLINE」のこと |
というわけで、「東方活劇綺談ONLINE」(GATLING CAT)の感想を纏めることに。
こちらのサークルの代表作ともいえる「東方活劇綺談」シリーズ最新作(といっても、発表されたのは昨年の冬コミであるが…)。東方二次創作の2D横スクロール痛快剣戟アクションゲームである。 今作の主人公は椛と輝夜の2人。椛は従来どおり軽快な動きと巧みな剣術が特徴。一方の輝夜はお姫様らしくウドンゲとてゐを呼び出して攻撃をさせるのが主体となる。これら自機を操作して敵の妖怪を蹴散らしながらゴールを目指し、時にはボスを倒すことが目的となる。さらに、今作ではシリーズ初の2人同時プレイも可能。ローカルにもオンラインにも対応している。 また、今作の成長要素は5つの成長タイプから選択。レベルが上昇する度に、それぞれの成長タイプに応じて体力や攻撃力など各能力の伸びを示す。成長タイプは平均的なものから運重視の偏ったものまで様々で、随時変更可能となっている。あと、レベル上昇とは別に、道中で入手したお金と鉱石を消費することで、攻撃力や防御力を鍛えることも可能である。 本編は全12面の一本道で2面ごとにボスが登場。レベルが足りなくて太刀打ちできないときには、修行専用マップの修行場でレベルを底上げしたり、鉱石を集めて装備を鍛えて再度挑戦するのだが、今作は攻略上この成長要素が特に重要(いわゆるレベルを上げて物理で)となるよう調整されていると感じられた。本編をクリアすると追加で2面と、マップや敵配置がランダムに変化する潜りまくりダンジョンが追加される。
今まで2Dゲーム製作ツールを用いて製作されていた「東方活劇綺談」シリーズであるが、今作では独自のゲームエンジンを採用。これにより、解像度のワイド対応や半透明処理、より多様な敵の攻撃パターンへの対応など、システム面や演出面などあらゆる場面において能力が強化されている。特に興味を惹かれたのが、ボス戦における対複数キャラ戦闘。お燐がゾンビ妖精を呼び出したり、潜りまくりダンジョンの最後でお燐とお空2人のボスとの戦闘になったりと、ボス戦の内容が著しく強化されていてとても新鮮であった。また、画面全体の拡大縮小機能は、2人プレイ時においてキャラ同時が離れたときに画面を縮小して描画範囲を広げるといった面白い効果も。これを見て「アウトフォクシーズ」の再現も可能ではないかと思ってしまった。 そして、従来の操作性の良さは新エンジンにもしっかりと継承。その上で、キャラの動きが今までのツールと比較すると明らかに一線を画する滑らかさで手応えも格段に向上。やはり、「東方活劇綺談」といえば、入力した操作に対する自機の反応の良さとその動きに対する手応えが最大の特長であると個人的に思っている。この点はこのシリーズに限らず製作される作品にはずっと大事にして欲しいと切に願うところ。
そのような内容の強化に目を惹かれる一方で、違和感を感じられる場面も結構見受けられた。例えば、椛がとれる動作が初代程度にまで簡素になったり、敵やボスの耐久力が序盤から高かったり、地形の平坦さが目立ったりといったところである。このせいで、起伏のある地形をものともせずに駆け巡り、出会った敵はその巧みな剣術で瞬く間に斬り伏せるといった疾走感が少なからず失われてしまった感が否めなかった。はて、これはどうしたことやらと考えてみたところ、至った結論が2人同時プレイに対する調整の結果ではないかということ。椛の動作の簡素化は、キャラ的に飛んだり跳ねたりするようなものではない輝夜と釣り合いを取るために、敵の硬さは2人同時プレイ時に敵を倒す手応えを出すために、地形の平坦さは、複雑な地形では進行に影響を及ぼすためと考えると全て納得がいった。 あと気になったのが、4面ボスのお燐の強さが際立って高く、ここでかなりのレベル上げを要求されること。レベル上げ自体は吝かではないのだが、それ以降のボス3体(文、お空、霊夢)で全くレベル上げを必要とせず割と弱く感じられてしまったのが調整的に惜しいと思った次第(ラスボスの魔理沙はちゃんと強かった)。まあ、これもボス戦で複数キャラによる戦闘の実装を先ずは優先と勝手に解釈している。
と、色々気になる点はあったが、本編をクリアする頃にはいつもの「東方活劇綺談」の手応えが戻ってきたので、序盤の違和感はどこかへ消え去ってしまってはいたのだが。 過去作との比較は続編ものの宿命ではあるが、それにばかり気をとられてしまっては進歩が無いので、現在発表されている「東方活劇綺談ONLINE2nd」では新エンジンによる新規性の発展に期待していきたい。特に、ボス2体との戦闘には非常に大きな衝撃を受けたので、これは本当に今後色々と活かして欲しいと思った次第である。
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